1: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)14:03:36 ID:qyd
勇者「やあ!たあっ!」ブンブン

「ギャー!」 「グギャア!!」

戦士「おい勇者、前に出すぎだぞ!」

勇者「大丈夫だって!後一匹だもん!」

戦士「国境付近で見知らぬ魔物ばっかりなんだ、少しは慎重に…」

「ピギャー!」

勇者「!うわっ!」

戦士「あ、危ない!!避けろ勇者っ!!」

バチッ

勇者「うっ…」

戦士「勇者!…こんの野郎!!」ブンッ

ザシュ

「ギャーーーッ!!」

戦士「おい、大丈夫かよ!」

勇者「う、うん…。ありがとう戦士…」

戦士「何だったんだ、今の魔法…。攻撃か?」

勇者「分かんない。別に痛くはなかったけど…」

戦士「…くそっ、とにかく入国して詳しく調べようぜ」

勇者「う、うん」

3: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)14:09:46 ID:qyd
神父「どうされた、旅のお方」

戦士「俺たち、ここの国境付近で魔物に襲われたんだが…」

戦士「連れが何か妙な魔法をくらってしまったんだ。な?」

勇者「…うん」

神父「なるほど。魔物はどのような形をしていましたか?」

勇者「えっと…。コビトみたいなかんじでした。杖持ってる…」

神父「…」

戦士「何か分かりますか?」

神父「それは、…このような魔物でしたか?」カリカリ

戦士「ああ、それです。だったよな?」

勇者「あ、これだ」

神父「…おお、…神よ…」

勇者「え」

戦士「え」

4: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)14:12:55 ID:qyd
神父「なんて可哀想な旅人なのでしょう。…その魔法はひどく厄介ですよ」

勇者「え、え…」

戦士「どういうことですか。まさか、…死ぬとか…?」

神父「いいえ。いや…むしろそれよりも酷いかもしれません」

勇者「…」

戦士「お、落ち着け勇者。深呼吸だ」

勇者「…」スーハースーハー

戦士「…どんな魔法なんです?」

神父「…この魔物は、とても珍しい個体でして…。戦闘力は皆無なのですが、魔法が厄介で」

神父「…性転換の魔法を使ってくるんです」

戦士「せ…」

勇者「……」

戦士「…」チラ

勇者「…」チラ

神父「お気の毒に…」

5: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)14:15:19 ID:qyd
戦士「な、…なんだ。そんなことか…。良かったな、勇者。死にはしないぞ」

勇者「…う、…うーん…?」

戦士「何か解除する方法はあるんですよね?」

神父「…」

戦士「…何黙ってるんです」

神父「そのぉ…」

勇者「嘘…」

戦士「…」

神父「すみません、この国で魔法が解除できた例はひとつも…」

戦士「…」

勇者「…」

神父「ただ受け入れなさいとしか…」

勇者「…」

戦士「お、おい」

勇者「…」

7: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)14:17:42 ID:qyd
神父「魔法の効き目は受けてから半日で始まります」

勇者「…」

神父「あなたの場合…明日の朝にはもう…」

勇者「…」

戦士「…」

神父「アーメン。どうか嘆きなさらず、安らかな半日を過ごしてください」

戦士「…嘘だろ。何かないんですか」

神父「お役に立てず申し訳ありません」

戦士「な…」

勇者「…」

戦士「…」

勇者「…」

戦士「ゆ、…ゆう…」

勇者「…行こう」フラリ

戦士「お、おい待て!」

8: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)14:19:55 ID:qyd
戦士「…勇者…」

勇者「…ごめんね戦士…」

戦士「なに謝ってるんだ。俺が悪いんだ、お前をサポートできなかったから…」

勇者「ううん。警告を無視したのが悪いんだよ…」

戦士「…だ、大丈夫だ!なにか解除の方法があるだろ。無いわけないだろ」

勇者「…」

戦士「ゆ、…勇者。大丈夫か」

勇者「うん…。死ぬよりはずっといいよ」

戦士「…」

勇者「宿、…とらなきゃね…」

戦士「お、…おう…」

12: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)14:22:54 ID:qyd
戦士「…」

勇者「…」

戦士「こうやって明日の朝を待つのか」

勇者「だってそれしかないし…」

戦士「諦めるなよ。なあ、俺は今から情報集めにいくぞ」

勇者「…いいよ、もう…」

戦士「それにもしかしたら、何かの間違いかもしれないし」

勇者「…」

戦士「と、…とにかく俺は町に行って話を聞いてくるぞ。お前は…」

勇者「…」

戦士「まあ、…。休んどけ。な?」

勇者「…」コクン

戦士「じゃあな!行ってくる」

バタン

戦士「…」

戦士(っべぇええええええええええこれ大変なことになったぞやっべえええええええええええ)ダダダダダダダ

17: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)14:26:08 ID:qyd
戦士「おい、誰か性転換の魔法について知らないか!」

戦士「何でもいいから情報をくれ!」

戦士「お願いだ!連れが可哀想だろ!!!」

戦士「そんなわけない!何か方法が…」

戦士「言い値を払うからとにかく…」

戦士「てんめぇえええええええええええええ嘘ついてんじゃねええええええええ殺すぞボケェエエエエエエ」ガッシャーン

戦士「なんか薬ぐらいあるだろ!薬屋なんだからなんとかしてくれよ!」

戦士「くそっ、くそぉおおおおおおおおおおお!!!!」

……

23: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)14:30:40 ID:qyd
チュンチュン

戦士「…」ズル

戦士「…あ、…朝に…なった…」

戦士「…くそっ…」

戦士「勇者ぁああ!!!」ダッ

バタン!!

戦士「おいっ、大丈夫か!」ドンドン

戦士「どうなってんだ、返事してくれ!!」ドンドン

戦士「ゆう…」

ガチャ

戦士「…」

勇者「…」

戦士「お、おい…」

勇者「……」

戦士「お、おい…。なんだ、はは…。変わってないじゃねーか」

勇者「…」

戦士「顔も変わってないし。別に、なにも…」

勇者「…変わった」

戦士「え、」

勇者「…」

勇者「分からない?全然違うだろ…」

戦士「…い、いや何言ってんだよいつもの勇者だぞ。はは…」

勇者「…」

勇者「なってるだろ!!!!!!!男に!!!!!!!!!」

戦士「勇者ぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

37: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)14:34:03 ID:qyd
勇者「変わってない!?どこがだよ!朝起きたらのど仏あったんだぞ!」ガッ

戦士「勇者ぁあああああ!!ああああああああ!!!」

勇者「胸がなくなってたんだぞ!!!!!体のありとあらゆる曲線がなくなってたんだぞ!!」ガクガク

戦士「うわぁああああああぁあああ」ガクンガクン

勇者「…そ、それに…。くそっ、…あれが…」

戦士「…」

勇者「ふざけんなよ…なんだよこれ…」

戦士「勇者…」

勇者「ぐすっ、ひっ…。あぅ…」ボロボロ

戦士「…ごめん。ごめんな…勇者…。俺が…俺のせいで…」

勇者「お母さんに何て言えばいいんだよこれ…どうしよう…」

戦士「俺もお前のお母さんに合わせる顔がねえよ…どうしよう…」

42: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)14:38:34 ID:qyd
勇者「うぅ、…ひっ…」ボロボロ

戦士「すまん…俺がいながら…。すまん…」

勇者「…何か情報あったか…?」

戦士「何もないんだ…すまん…」

勇者「じゃあ僕一生このままなの…。…ねえ…」

戦士「落ち着け勇者。大丈夫だ。絶対大丈夫だから」

勇者「どこが!!!!全然大丈夫じゃないだろ!!なあ!!」

戦士「外見は男になったかもしれないが、お前の精神はまだ娘のままだろ!!!」バッチーン

勇者「いってぇえええええええええ!!!」ズサァ

戦士「違う!勇者、違うだろ!!俺に殴られたときのお前の本当の反応はそうじゃないだろ!!」

勇者「は、はあ!?何言って」

戦士「思い出せ!お前は女だ!言動や行動まで男になってどうすんだぁああああああああああああああああ」ガクガク

勇者「!!!!」

勇者「た、…確かに…」

戦士「はぁ、はぁ…。だろうが…」

勇者「あ、…危ないところだった。何やってんだろ、僕…」

44: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)14:42:36 ID:qyd
戦士「いいか、勇者…。お前は確かに男勝りなところもあった。しかし紛れもない女だ。娘だ」

勇者「う、うん…」

戦士「体がこうなっても何ら変わらない。だから、呑まれずにありのままでいろ…」

勇者「そ、…そうだね。ごめん、戦士…」

戦士「そうだその調子だ。いつもの勇者じゃないか」

勇者「…うん!」

戦士「…」

勇者「…」

戦士「で、どうする」

勇者「どうしよう…」

戦士「おっと泣くなよ。泣いたってなにも解決しないんだからな」

勇者「うん…わかってる…わかってるってば…」ギュウウウ

戦士「…とりあえず、…お前、飯食え。昨日から何も食べてないだろ…」

勇者「…わかった…」

戦士「食堂に降りよう」

45: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)14:45:57 ID:qyd
勇者「…待って」

戦士「何だ」

勇者「僕、この格好で降りる自信はない」

戦士「…パジャマか…。たしかに女物だ」

勇者「…戦士の服、貸してよ」

戦士「なあ、…外見はそんなに変わってねーんだ。女物着てたってバレないんじゃ」

勇者「バレるよ!!!バレバレだよ!!!」ガッ

戦士「わ、分かった分かった!!!貸す!!」

=食堂

ザワザワ

勇者「…」

戦士「大丈夫だって。なあ」

勇者「…変な感じがする…。なんか怖い…」

戦士「黙って飯食って出ればいいんだから、気にするな」

勇者「…う、うん」

46: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)14:49:10 ID:qyd
勇者「…」

戦士「…」

おばちゃん「はいいらっしゃい!なににするかい?」

戦士「朝の定食を2つ頼みます」

おばちゃん「あいよ!あんたら、旅の人かい?」

戦士「あ、ああ。昨日ついたばっかりなんだ」

おばちゃん「じゃあサービスしないとねえ!あんたはいっぱい食べそうだ!」

戦士「はは、そうだな」

おばちゃん「あれ、でもこっちの…」チラ

勇者「…」

戦士「…」ドキドキドキドキ

おばちゃん「ひゃぁ~!…あんたよく顔見せてごらん」バッ

勇者「え、わ…」

おばちゃん「あんた…」

勇者「…」ゴクリ

おばちゃん「…良~い男だねぇ~」ウットリ

勇者「!!!!!!!!!!!!!!!!!」

戦士「ガッ…」

47: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)14:52:31 ID:qyd
おばちゃん「こぉんな綺麗な顔、ここらじゃ見ないよ!」

勇者「あ、あは…」

おばちゃん「お肌もすべすべで…。真っ白いし、華奢だし、美少年ねぇ…」

戦士「…」

おばちゃん「こっちのムサい方とは大違いだね!でこぼこコンビだ!あはは!」

戦士「…お、俺たち腹減ってるんだけど…」

おばちゃん「ああ、はいはい!そうだったね!早く持ってくるよ!」タタタ

戦士「…」

勇者「…」

戦士「…水飲むか…」

勇者「…」フルフル

戦士「…勇者…。そ、そんな気にするなって…。な…」

勇者「…」ゴシゴシ

戦士「な、泣くなよ!!!」

48: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)14:54:54 ID:qyd
戦士「ほ、ほら!華奢とか白いとか言ってただろ!綺麗だとも!」

勇者「…」

戦士「それって女が言われて喜ぶことだろ?良かったじゃないか、まだ女の部分が残っ」

勇者「…華奢って、男にしてはって意味だもん」

戦士「…」

勇者「色が白い男の人だっていっぱいいるし」

戦士「お、…」

勇者「問題は…一見して男って思われたことなんだけど」

戦士「…」

勇者「…」

戦士「す、すまん…」

勇者「…」

戦士「…」

49: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)14:58:51 ID:qyd
おばちゃん「はい、定食ふたーつ!」ドン

戦士「あ、どうも…」

おばちゃん「また外に出るんだろ?大盛りサービスしといたからね!」

戦士「あ、ありがとう。やったぜー」

おばちゃん「そこの坊ちゃんも、いっぱい食べなさいよっ」バチン

勇者「…ども…」

戦士「…食べるか」

勇者「…うん」

戦士「…あれ?お前の定食、なんか俺のと違くないか」

勇者「…なんか、一品多い」

戦士「…」バッ

「そおなのよお、あの子…」

「うわっすっごい美少年…。目の保養だわ…」

「ちょっとあんた、あの子にデザート余分につけたでしょ!」

「いいじゃないのー、可愛い子にはサービスしたいじゃなあい」

戦士「…」

勇者「…」

戦士「逆に考えろ」

勇者「…」

戦士「せめて美少年で良かったt」

ゴッ

50: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)15:01:45 ID:qyd
おばちゃん「またねぇ~うふっ」

勇者「…」

戦士「…たんこぶできてる…」

勇者「…あのね」

戦士「おう」

勇者「いつもならあの量、食べれなかったと思う…」

戦士「…」

勇者「…それだけ」

戦士「…元気、出せよ…」ポン

勇者「…」

戦士「…ほら、じゃあさ。情報収集にでも行こうぜ!」

勇者「…うん」

戦士「絶対何か解決策があるって!それに、ここの町で買い物もしたかっただろ?」

勇者「…そうだね」

戦士「じゃあ、準備しようぜ!」

勇者「うん。ありがとう、戦士」ニコ

51: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)15:07:45 ID:qyd
ガヤガヤ

戦士「俺は昨日の夜中、ここらの飲み屋で聞き込みしたんだけどな」

戦士「結局何も成果は得られなかった」

勇者「そう…」

戦士「けどよ、まだ行ってないところがあるだろ?」

勇者「…どこ?」

戦士「王宮さ。あそこには学者もいるし図書館だってある」

勇者「!そっか、確かに」

戦士「早速行ってみようぜ!」

勇者「うん!」


=王宮

王「…ほう。旅の者が…。久しぶりだな。最近はめっきり旅人も減ってきてな」

戦士「はあ」

王「そちらは戦士か。見たら分かる。屈強な男だ」

戦士「どうも」

王「…そちらの少年は…。はて、役職は何かな?」

勇者「…」ピキィ

戦士「あ、一応こいつも戦士です!戦士!」

王「おお、そうかそうか。若いのに感心だな」

戦士「それで、…俺たち、少し聞きたいことがありまして…」

52: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)15:11:01 ID:qyd
王「…なんと!!!それではそちらの少年は、実は少女だと申すか!」

勇者「はい、王様…」

王「なんと哀れな…。確かに、国境付近にいる魔物には我が国も苦しめられておる」

王「しかしこの例は…。珍しくてのお…。前例がないわけではないが…」

戦士「とにかくこいつを元に戻してやりたいんです」

王「ふむ…。研究者を使ってはいるが、いまいち成果が…」

戦士「何もない、…ですか」

王「残念ながら、有効な手はないな」

勇者「…」

戦士「…そ、その学者に話を聞くことはできますか?」

王「おお。できるぞ。東の図書館にいるから聞いてみるといい」

戦士「はい!」

王「達者でな。戦士と少女よ」

勇者「…」ペコリ

53: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)15:14:56 ID:qyd
学者「ええ、あの魔物の魔法を!?」

勇者「…はい」

戦士「あなたが研究している魔物ですよね」

学者「そうなんだよ、僕が長年追い求めてる幻の魔物」

勇者「え、幻?」

学者「そうそう。めちゃくちゃ出現率が低くてね~」

学者「でも君、その姿と魔法をナマで見れたんでしょ?うらやましいなあ」

ダン!

戦士「…いいから詳しく教えてくれねえかな?」

学者「ひ、…。ジョ、ジョークだよ!すまなかった…」

勇者「戦士、やめてよ」

戦士「…」ムスッ

学者「ええと、僕が分析した結果じゃこの魔法は祈祷や解毒の薬じゃ解けない」

戦士「…」

学者「くらったが最後、姿は変わらないままだね」

勇者「…はぁ…」

学者「ちなみに同じ魔法をもう一回くらえばいいという問題でもないようだ。実験したんだけど」

戦士「マジかよ…」

54: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)15:19:23 ID:qyd
学者「やっぱ、被害者の人生はヒサンだよね。一番悲しかったのが既婚で子どももいる男性」

勇者「…」

学者「離婚して今じゃ1人寂しく暮らしてるらしい」

戦士「…なにか明るい情報はないのか…?」

学者「…これ、耳に入れていいかどうか分からないんだけど…」

勇者「何でも良いんです、教えてください」

学者「…国のはずれの丘の上に、ある夫婦がいてね」

戦士「ああ」

学者「そのどっちかが昔、その魔法を受けたそうだ」

勇者「それで」

学者「けど、今じゃ元通りになってるそうなんだ」

戦士「!マジかよ、それを早く言えっての」

学者「待って!でもこれ噂だし、確証はなにもないよ?」

学者「調べようにもさ、変わり者だから全然協力してくんないし…」

戦士「土下座でもなんでもして頼み込む。行くぞ、勇者」

勇者「ありがとうございました!」

学者「あ、…うん。気をつけてね」

学者「…」

学者(あの子、女の子に戻ったら相当美人なんだろうな…)

55: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)15:21:44 ID:qyd
戦士「やったな勇者!めちゃくちゃ有力情報じゃねえか!」バンバン

勇者「希望見えてきたね!」

戦士「いやぁ、ちゃんと調べてみるもんだな!」

勇者「ねー!」

ヒソヒソ

戦士「よっしゃ、じゃあその夫婦のとこに…」

ヒソヒソ

勇者「…」

「ほら、こっち見た!」

「きゃー!」

勇者「…」

戦士「お…」

「ほら、あなた行きなさいよ」

「でも、私…」

「じゃあ私が声かけてくる!」

戦士「行くぞ」

勇者「了解」

56: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)15:24:53 ID:qyd
=丘の上

戦士「はぁ、はぁ…」

勇者「ほらー、早くしないと置いていくよー」

戦士「うっせーな…。なんだこの丘…。めちゃくちゃきつい…」

勇者「だらしないなあ、もう。オッサンだからかな」

戦士「オッサンじゃねーよ!お前と4つしか変わらんだろ…。くそ…」ゼェゼェ

戦士「いつもならお前のほうが先にバテるはずなのに…。どうなってやがる…」

勇者「なんか体が軽い気がするんだ。筋肉ついたからかなあ」

戦士「あーはいはい。男になって体力まで変化したわけね…」

勇者「戦いにはこっちのほうが向いてるのかなあ」

戦士「そんなことねーだろ。どっちでも実力は同じだ」

勇者「そう、…で、まだー?」

戦士「うるへー」ハァハァ

57: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)15:28:33 ID:qyd
勇者「ごめんくださーい」コンコン

戦士「はぁ、…はぁ…ふぃ…」グタ

婆「…」ギィ

勇者「あ、こんにちは。僕たち旅の者で…」

婆「帰ってくんな」

勇者「え」

戦士「ちょ、…待ってくれよ。頼む、俺たち…」

婆「国から来たモンの話は聞きたくないね」

勇者「ま、待ってください!おねがい…」

ガチャ

婆「!」

爺「…」

爺「…入んな」

勇者「え、…いいんですか」

婆「ちょっと、あんた」

爺「いいから。ほら、そっちのバテてる男も入りな」

戦士「は、はあ。ども…」

勇者「…どうして急に?」

戦士「さあ…」

58: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)15:31:53 ID:qyd
爺「茶を出してやれ」

婆「分かりましたよ、もう…」

勇者「…」

戦士「…」

爺「ここまで上がってくるのは疲れたろ。ま、座りな」

勇者「ありがとうございます」ガタ

婆「はい、紅茶ですよ」コト

爺「ふむ。…砂糖はいるかな、お嬢さん」

戦士「え!」

爺「お前じゃないわい。そっちの若いほうのお嬢さんじゃ」

戦士「わ、分かるんですか!?」

勇者「そんな…」

爺「ふぉっふぉっ。分かるとも、そりゃあ…。あの魔法を受けたものだってな」

勇者「…」チラ

戦士「…」コクン

婆「あれま、旅の人なのに可哀想に」

59: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)15:34:59 ID:qyd
勇者「どうして…」

爺「…わしも、あの魔法を受けたからのお。昔の話じゃが」

戦士「…なるほど。そうすると、あなたは…」

爺「…わしはその昔、女になった…」

勇者「も、戻ったんですか!!?」

婆「そうよ」

戦士「マジですか!!!!!」

勇者「やったぁあああああああああ!!神様!ありがとう神様!!」

爺「落ち着けい」

戦士「ど、どうやったんですか!教えてください!」

爺「…」ズズ

婆「…」

勇者「困るんです、僕…。戻りたくて」

爺「方法は、ある」

戦士「それは…」

爺「しかしのお、ううむ…。難しいぞ」

勇者「なんでもします!!!」

60: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)15:38:37 ID:qyd
爺「…」ウーム

戦士「そんなに大変なことなんですか?」

爺「…その組み合わせじゃなあ…」ボソリ

戦士「はい?」

爺「いや。なんでもない。まあ、少し落ち着いて話を聞いてくれんか」

勇者「はい。聞きます」

爺「…昔の話じゃ」

爺「わしは狩人じゃった。国外に出ては獲物を狩っておった」

爺「当時は可愛い恋人もおってな。屈強な男としてモテモテだったんじゃ」

戦士「はあ」

爺「…しかしある日」

爺「鹿を倒そうと近づいたとき、草むらから魔物が飛び出してきおった」

爺「あわてて蹴り飛ばすと、やつはわしに魔法を放った」

爺「一瞬めまいがし、座り込んだ…。しかし体に何も変化はなく、不思議に思った。魔物はいつのまにか消えていた」

勇者「一緒だ…」

戦士「そうなのか」

勇者「うん。めまいがしたんだ」

61: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)15:43:41 ID:qyd
爺「わしは狩りを中断し、町に戻った。結婚する予定の恋人が美味しい手料理を作って待っていてくれたよ…」

戦士(このジジイ、隙あらば自分語りしてくんな…)

爺「わしはなんだか体がダルく、食事をとると早々に床についた」

爺「そして目覚めると…」

勇者「…」ゴクリ

爺「…女になっていたのじゃ!!」ワナワナ

婆「あぁ…」

爺「ばあさん、あの日の衝撃は忘れられないなあ?」

婆「ええ…。朝起きたら隣に寝ている恋人は屈強な女に…」

勇者「うわぁ…」

戦士「嫌か」

勇者「絶望だよ」

戦士「なるほど…」

爺「昨日受けた魔法のせいに違いない。そう思ってわしは神父のところへ駆け込んだ」

爺「しかし神父は“ヨシダサオリ!!”と叫んだきり、わしらを追い返しおった」

爺「あの魔物は呪いを生み出すもの…。魔法をうけたわしらは、周囲にも呪いをまき散らすと考えられたのじゃ」

勇者「そんな…」

婆「周りは白い目で私たちを見つめてきたよ。本当に辛かった」

戦士「…心中お察しする」

63: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)15:48:49 ID:qyd
爺「必死になって調べたが、解決方はなかった…」

爺「町からものけ者にされ、陰口をたたかれ、わしらはついに国を出た」

爺「そして今じゃこんなはずれの場所で暮らしておる」

勇者「…可哀想に…」

婆「でも、いいのよ。ここでの生活は楽しいものね、あんた?」

爺「まあな。ふふ…」

戦士「…そんで、どうやって元に」

爺「ああ、そのことじゃったな」

爺「わしらはとにかく調べに調べ、ある日真実にたどりついた」

爺「流浪の魔法使いに宿を貸したお礼に、教えて貰ったのじゃ」

勇者「…それは」

爺「…」

婆「…」

戦士「おい、何なんですか。言ってください」

爺「なあ、どう思う」

婆「うーん…」

勇者「何…」

爺「うーむ。…その、1つ聞いていいか」

勇者「はい」

爺「2人はこうなる以前、どういう関係じゃったのかな」

勇者「…えーと。パートナー」

戦士「連れだな」

爺「…」

爺「付き合ってはおらんのか?」

戦士「そんなんじゃありません!!!」

65: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)15:52:09 ID:qyd
爺「なるほど…。それは…うむ…少し、あれだな…」

勇者「な、何なんですか。不都合ですか?」

爺「お嬢さんに恋人はおらんのか?」

勇者「い、…いないです…」

爺「なるほど…」

婆「…」

戦士「おい、一体何なんですか。とにかく解決方を…」

爺「うーむ、教えても構わんがのお。その、ちとアレじゃぞ」

勇者「僕、何でもします!できます!」

爺「いや、うーん。お嬢さんというか、そっちの男のほうの裁量というか、なあ」

婆「ええまあ…」

戦士「え?どういうことだ?」

爺「…」

婆「…」

爺「…まあ、この巻物を読んでみなさい。ここに方法が乗ってるから」

勇者「ありがとうございます!」

66: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)15:55:17 ID:qyd
勇者「ほら、読もうよ戦士」

戦士「待ってくれ」

勇者「なに?」

戦士「なんか、俺さ、ちょっと…」

勇者「何なの」

戦士「嫌な予感が…」チラ

爺「…」スッ

婆「…」スッ

戦士「ほら、2人とも目をそらしてるし…」

勇者「いいからとにかく読もうってば!ほら」シュル

戦士「あ、ああ…」

勇者「えっと…。あ、これは薬のレシピ…?」

戦士「なんだ、薬で治るのか」ホッ

爺「うむ、まあ…」

勇者「…うん、ちょっと珍しいものだけど集められないことはなさそうだよ」

戦士「おお!」

勇者「…できあがった薬を…」

戦士「おお」



勇者「……真実の愛の行為に使います…?」

戦士「」

勇者「どういうこと?」

戦士「」

69: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)15:58:15 ID:qyd
戦士「」ジッ

爺「まあ、そういうことじゃ」

婆「…」コクリ

勇者「え?…なに?」

戦士「…」

勇者「なんで顔を覆ってるの?戦士?」

戦士「嘘ぉ…」

勇者「なになに?ねえ?どういうこと?」

戦士「あんたら…やったのか…これ…」

婆「やりました」ポッ

爺「こ、これ」ポッ

戦士「外の風に当たってくる」ガタッ

勇者「え?うん」

爺「はぁ~…こりゃどうなるかのお」

婆「私は爺さんのこと愛していたので、平気でしたよ」

爺「ばあさん…」ポッ

勇者「…?」

72: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)16:01:10 ID:qyd
戦士「…」

ヒュオー

戦士「…さわやかな風だな…」

戦士「はは…」

戦士「…」

戦士「…」

戦士「…」

戦士「…うわぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」ガンガンガンガンガン

戦士「嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろぉおおおおおおおおおおおおお」ガンガンガンガンガン

戦士「待ってくれお願いだ嘘だろ誰か嘘って言ってくれ助けてくれお願いだからあああああああ」ガンガンガンガンガン


<ガンガンガン

爺「葛藤しとるのお」

婆「思い出すわ、あの時」

勇者「んー?愛の…?んー?」

73: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)16:03:34 ID:qyd
戦士「ぬわああああああああああああああああああああんもうやだあああああああ」ガンガンガン

戦士「いや待て」ピタッ

戦士「待て、もしかしたらソッチじゃないかもしれない」ダッ

バン!

戦士「なあ!どっちがどっち役だった!?」

爺「魔法をかけられた方がタチじゃな」

戦士「オッケー!風に当たってくる!」

バァン!!!

勇者「…額が血だらけだったけど」

爺「葛藤じゃ」

婆「私もかなり悩みました…。けど、…あんたを愛してたから…」ポッ

爺「こ、これ」ポッ

77: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)16:08:29 ID:qyd
戦士「…」

勇者「戦士ー」

戦士「…おう」

勇者「おじいちゃん達が、昼ご飯食べていけって」

戦士「それはありがたいな。血が足りなくて困ってたところだ」



勇者「いっただっきまーす!」

婆「はい、たんと召し上がれ」

勇者「うわーこれ美味しい!すっごくおいしいよ!」ニコニコ

戦士「…」

爺「…食べるんじゃ…」

戦士「いただきます…」モソモソ

爺「…わしも男じゃから、お前さんの考えていることはよく分かる…」

爺「しかし、見ろ」

勇者「えへへ、これ僕にも作り方教えてください!」

婆「ええ、いいわよ」

爺「あの…全てが上手くいくだろうと確信した無垢な少女の笑い顔を…」

戦士「あ、…ぁあああああ…うあああ…」ガタガタ

79: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)16:12:15 ID:qyd
爺「彼女は解決策が見つかったとホっとしているのじゃよ…」

戦士「うぅ、あぁあぁああ…」

婆「その料理はね、ここらの娘がお嫁にいくときに必ず習うものなのよ」

勇者「へー!じゃあ僕も上手く作れるようにならなきゃなぁ」ニコニコ

戦士「…」

爺「…」ポン…

戦士「…」

爺「お食べ…」

戦士「…」モソ… モソ…

勇者「ね、戦士!これも美味しいよっ」

戦士「ああ、そうだな…」

勇者「女に戻ったら、作ってあげるね!」

戦士「ぐぅ…」ズキン

勇者「本当によかった!国に戻ったら、学者さんにも教えてあげようね」

戦士「ぐぅうあ…」ズキンズキン

勇者「戦士?」

戦士「…あぁ…そうだな…」

爺「…」

81: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)16:14:43 ID:qyd
爺「そろそろ遅い。もう今日は泊まっていきなさい」

婆「そうね。そうしなさい」

勇者「いいの?おじいちゃん」

爺「ああ。まだ話すこともあるしな…」チラ

戦士「…」

勇者「ありがとう!あ、僕お皿洗い手伝うよ!」

婆「あら、ありがとうねえ」

爺「…さ、戦士は風呂の薪割りを手伝っておくれ」

戦士「了解…」フラリ

勇者「…」

勇者(戦士、元気ないな…)

勇者(なんでだろ…)ハテ

85: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)16:20:26 ID:qyd
爺「あの子、いくつじゃ?」

戦士「勇者は…18歳だ」パカン

爺「おおう…。にしてはその、知識がないというかなんというか」

戦士「教えてこなかった俺が悪いんだ…はは…」

爺「ええと、まあ、…経験もないわけか?」

戦士「俺の知る限りでは無いな…」パカン

爺「なるほどの…」

戦士「どうしたらいいんだ俺…」パカン

爺「ふむ、…。そうじゃのお。魔法を解くにはどうしても愛する相手が必要じゃし」

爺「あの魔法をくらった者は、大体が恋人と別れたり離婚しておる。だから解けないのじゃ」

戦士「なるほど…」パカン

爺「お前さんたちは、どういう関係なんじゃ」

戦士「ああ、…まあ、言っちまえばあの子は魔王を倒す身なんだ」

爺「!…なんと、…確かに雰囲気が違ったような気がしたが…」

戦士「13歳のときに啓示を受けて、旅に出た。村で唯一歳の近かった俺と一緒にな」

爺「なるほど、幼なじみなわけか」

戦士「まあ、…なんというか。そんなかんじだ」

86: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)16:24:44 ID:qyd
爺「お前さんは、…勇者をどう思う」

戦士「そりゃ大事だよ。大事なパートナーだ」

爺「…ソッチの意味では?」

戦士「あのなあ、なんか、そういう…。そういう感情があったら旅がしづらいだろ」

爺「そういうものか」

戦士「…別に、俺は…。なんとも…」

爺「ふむ…。しかし書物にあるとおり、真実の愛が必要じゃ」

爺「わしらの場合は夫婦同士。一番心が近い者どうしというわけじゃな」

戦士「…」

爺「お前の他になるような人物がおればな。勇者の心に近い人物…」

戦士「あ!母親ならいる!」

爺「お前は阿呆か?」

戦士「だよな」パカン

87: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)16:28:57 ID:qyd
戦士「…はぁ、どうするか…」

爺「まあお前さんの問題でもあるからな。じっくり考えるんじゃな」

戦士「とりあえず薬は作る。そこは、やる」

爺「そうしなされ。家に泊まって集めるのもいいしな」

戦士「…ああ、すまない…」

爺「さ、風呂も沸いたし中に入るか」

戦士「ああ」

ガチャ

婆「まあ、なんていうのかねえ。その…」

勇者「具体的に教えてもらわないと分からないよー」

婆「その、うーん。真実の愛の行為っていうのは、つまり」

戦士「勇者!!!!!!!!!お風呂に入りなさい!!!!!!!!」

勇者「うわびっくりした。いきなり叫ばないでよ」

戦士「入りなさい!!!!!!!!!!」

勇者「待って。今巻物のことを…」

戦士「は!!!!い!!!り!!!な!!!さ!!!い!!!」

勇者「…分かったよ。もーうるさいなあ」

戦士「はぁ、はぁ…」

婆「教えなくていいのかい?」

戦士「無理無理無理絶対無理」

88: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)16:31:24 ID:qyd
勇者「なんなの戦士…」ガチャ

勇者「態度おかしいし…」

勇者「…」ヌギ

パサ

勇者「…」

勇者「……」ムニ

勇者「…」ツルペタン

勇者「…」カチャカチャ

勇者「…う」

勇者「…はぁ…」

勇者「もう、やだなあ…」

勇者「タオル巻こう、タオル…」

勇者「…」

勇者「お母さん、…何て言うかなぁ…。この姿見たら…」ハァ

90: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)16:37:08 ID:qyd
勇者「あがったよー」フキフキ

戦士「…おう」

勇者「また戦士のシャツ借りた。ぶかぶかだけど」

戦士「…おーう」

勇者「ねえ」ギシッ

戦士「おおう!?」ビクッ

勇者「明日からどうする?」

戦士「お、…おう」

勇者「おうしか言ってないじゃん、さっきから」

戦士「…すまん。考え事してた」

勇者「だから、明日から」

戦士「ああ、…とりあえず、薬の材料を集めるべきだな」

勇者「うんうん」

戦士「近くの洞窟にある材料だけは、潜ってとりに行かないといけない」

勇者「そうだね」

戦士「あとは、…町で手に入るだろ」

勇者「そっか」

戦士「おう…」

勇者「で、その後は?」

戦士「そのあとってなんだ?」

91: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)16:39:48 ID:qyd
勇者「薬ができてからだよ」

戦士「ああ、なるほど」

勇者「…何変な顔してんの」

戦士「してないが?」

勇者「引きつってるんだけど」

戦士「へ?なにが?」

勇者「…」

戦士「ははは、おかしなこというなおまえ」

勇者「ねえ、あの巻物って戦士になにか都合が悪いの?」

戦士「…」

勇者「戦士に負担が大きいって…どういう意味?」

戦士「な…んだろうな?」

勇者「え、分かんないの」

戦士「…おー…」

勇者「…大丈夫?それ」

戦士「おー…?」

勇者「戦士」

戦士「はい」

93: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)16:43:18 ID:qyd
勇者「…」

戦士「…何だ」

勇者「…あのね、」

戦士「ああ…」

勇者「無理しなくていいからね」

戦士「は」

勇者「僕がもともと悪いわけだし。戦士があまり無理するような内容だったら、やらなくていいから」

戦士「な、…」

勇者「怪我するとか、痛い思いするとか、嫌な思いするとか、そういうのだったらしなくていい」フルフル

戦士「…」ドキ

勇者「僕、…それくらいだったら、このままでいい」

戦士「…でも、それじゃ…」

勇者「いいよ!ほんとに…。もしかしたら別の方法もあるかもしれないしさ」

勇者「だから、戦士は無理しないでね。そうじゃないと、僕が嫌だから」

戦士「勇者…」

勇者「じゃ、おやすみっ」

戦士「…おやすみ…」

94: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)16:47:38 ID:qyd
婆「それじゃ、気をつけて行くんだよ~」

爺「夕方には帰ってこいよ~」

戦士「はいはーい」

勇者「お弁当まで作って貰ったねー。優しいね」

戦士「俺には悪魔に見えるよ…」

勇者「え?」

戦士「なんでもない」

勇者「ふうん。…あ、ところで材料って」

戦士「ああ、これな。洞窟の奥に生息しているツル植物の実だ」

勇者「はぁ…。聞いたこと無いね、やっぱあそこにしかないのかな」

戦士「らしいな。昔は市場に出回っていたそうだが、今は流通がほとんどない」

戦士「手っ取り早く手に入れるには、直々に出向くしかないってこったな」

勇者「なるほどねー」

戦士「お前洞窟とか苦手だろ。足ひっぱんなよ」

勇者「へ、平気だし」

95: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)16:48:03 ID:qyd
>>92

97: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)16:58:05 ID:wfE
勇者「てい!やあ!」ザシュッ

「キー!」

戦士「なんかお前、踏み込みが強くなったな」

勇者「本当?」

戦士「ああ。一撃の重みがだいぶ違う」

勇者「おー…。これが男性の力か…」

戦士「どうだ?」

勇者「んー、…。たしかに力は強くなったけど早さは前のほうがいいかな」

戦士「へえ、そういうもんか」

勇者「感じだけどね。さ、いこ」

戦士「…」

戦士(た、逞しくなったな…)

戦士(暗がりにおびえたりしないし…。率先して前行ってるし…)

勇者「おいてくよ-」

戦士「あ、ああ。すまん」

99: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)17:02:39 ID:wfE
勇者「…ここが最深部かな」

戦士「そのようだな」

勇者「ここらへんにあるんだよね?」

戦士「ああ。大きいからすぐ分かるはずだ…」

ブニュ

戦士「うお!?」

勇者「あ、これ!」

戦士「でっか!!こんなにデカいのかよ!大蛇くらいあるぞ」

勇者「実が成ってないけど…」

戦士「多分末端のほうなんだろう。たどっていけば実にたどり着くさ」

勇者「そっか、じゃあ行こう」

戦士「ああ」

コツ コツ

戦士(…不思議なもんだな)

戦士(性別が変わっても相変わらず細っこい、ただのガキみたいなのに)

戦士(いつのまにか俺より先を歩いて…)

戦士(…俺は今まで、こいつを後ろにしてたのか…?)

戦士(守ろう守ろうとしていて、その実…)

勇者「あ!!」

戦士「!」ビクッ

勇者「あったよ戦士!あれじゃない?」

100: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)17:05:14 ID:wfE
戦士「おお、あれだ。赤いやつ」

勇者「やったー!採ろう採ろう!」

戦士「気をつけろー。高いところにあるぞ」

勇者「大丈夫!よいしょ…」グググ

戦士「…」

勇者「…!」バッ

戦士「な、…なんだ」

勇者「い、いま…。スカートの中見えてなかった?」

戦士「は?いや、」

勇者「…あ」

勇者「…そうだった、あはは。なんでもない」

戦士「…」

勇者「いや、慣れなくて…」

戦士「……」

勇者「よっと」ブチ

勇者「はい、取れたよ。パス」ブン

戦士「お、おお」パシ

101: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)17:07:57 ID:wfE
勇者「じゃ、帰ろうか」

戦士「そうだな」

勇者「よ、」ピョン

戦士「…」

ズズズ

勇者「はー、お腹すいたー」

戦士「…!勇者っ!」

勇者「え?」

戦士「剣を抜け!後ろだ!!!」

勇者「え、…うわっ!」グイッ

魔物「ぐぅああああああああああああああああ!!!」

勇者「わぁあああああああああああああ!!!」

戦士「勇者ぁーーーっ!!」ダッ

勇者「ちょ、離せ!離せ!」ブンブン

カラン

勇者「!け、…剣がっ…」

魔物「ぐぉおおおおおおおおおおおおおお!」ブンッ

勇者「!くそっ…」

103: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)17:10:34 ID:wfE
戦士(ツル状の…魔物!)

戦士(本体の実を採られたせいで起きてきやがったのか!)ダッ

戦士「うおおおおおおおおおおおっ!」ザシュ

戦士「勇者!待ってろ、すぐ行く!」

戦士「くそっ、触手が…邪魔だ!!!」ザシュザシュ

勇者「うわぁあああああああああああああああっ!!!」

魔物「ぐおおお…」ズルズル

戦士「お、おい!待て!どこにっ…」

勇者「戦士!助けて!引きずり込まれる…!」

戦士「あぁ!?くそ、頑張れ!!」

勇者「…っ、このっ!」ガブッ

魔物「ぎゃああああああああああ!」パッ

勇者「うわっ」ドチャ

104: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)17:14:53 ID:wfE
勇者「はぁ、はぁ」

勇者(剣を…早く…!)

ヒュン

勇者「!ひゃっ…」ズデッ

魔物「ぐるるる…」

勇者「ちょ、…うわぁああ!?」ブラン

戦士「勇者!!!」ダッ

勇者「やばいやばい!食べられちゃうよ戦士!!」

戦士「ふざけんなこのクソ触手!!!!」ザシュッ

魔物「ぎゃあああああああああああああ!!」

戦士「勇者を!離し!やがれ!」ザシュザシュ

魔物「ぐるううう…」ゴゴゴ

魔物「がっ!」ドスン

戦士「鈍い!こっちだ!」ブン

魔物「…!」

戦士「死ね!!!!」

ザシュッ

魔物「…が…」

魔物「ぐご、…」

ドォン

戦士「…ふん、植物ごときが刃向かってくるんじゃねー」グイッ

戦士「おい、大丈夫か勇者」タタタ

勇者「う、…なんとか…」

戦士「ったく、剣を落とすなんてな。ドジはやっぱり変わらない」

105: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)17:18:42 ID:wfE
勇者「う、…。まあ、否定はしない。ごめんなさい」

戦士「今回は許す。ほら、手」

勇者「…ん」

戦士「よっと」グイ

勇者「よいしょ」

戦士「」

勇者「あ」

戦士「お、おま…」

勇者「………っ」バッ

戦士「す、すまん!すまん!!!!!」

勇者「……」カァァ

戦士「待ってくれ、なんだこれ、どういうことだ!?」

勇者「な、…なんかベトベトすると思ったら…」

戦士「分解液か…。繊維を溶かされたんだな、…その、すまん」

勇者「う、ううん。全然、全然」ブンブン

戦士「…やばいか?」

勇者「服、…ボロボロ」

戦士「分かった。えっと、じゃあ…。俺のシャツを羽織ってろ…」バサ

勇者「寒くない、戦士…?」

戦士「平気だ。下にインナー着てるから…」

勇者「ごめん、じゃあ、借りる…」

106: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)17:22:02 ID:wfE
戦士「…大丈夫か?」

勇者「うん。なんとか」

戦士「…」チラ

勇者「あ、あはは。ワンピースにしては丈が短いかんじだけど。まあなんとか」

戦士「あ、…ああ…」

勇者「…ごめん、前歩いてくれる…?」

戦士「分かった」バッ

勇者「…」グッ グッ

戦士「の、伸ばしてもいいからな」

勇者「う、うん…」

戦士「…」

勇者(スースーする…。見えてないよね、これ)

戦士(…見えた…)

戦士(いや、見ようと思って見たわけじゃない。これは事故だ事故なんだすまん勇者本当に)

戦士「…」

戦士(あった…。やっぱり、あった…)

107: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)17:25:13 ID:wfE
戦士「…外だな」

勇者「う、うん」

戦士「お前、その格好で大丈夫か」

勇者「…早く帰って、着替えよう、かな」

戦士「そうしよう」

勇者「うん…」

戦士「重ねて言うが、伸ばしていいからな」

勇者「分かったってば」

戦士「…」

勇者「…」

「おい、いたか!」

「いや、逃げられた」

「なんだよ、くそー」

勇者「!!!!」ビクゥッ

戦士「…」ビクッ

勇者「せ、戦士っ」ピトッ

戦士「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?」バッ

「…なんだ?」

「悲鳴?」

勇者「な、なに大声だしてるの!気づかれちゃうじゃん!」

戦士「すすす、すまん!すまん!」バクバクバク

108: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)17:28:10 ID:wfE
戦士「な、なんでくっつくんだ。なあ」バクバクバク

勇者「だって見られちゃうじゃん…!」

戦士「そ、そんなにまずいのか?」

勇者「まずいよ!」

戦士「わ、…分かった。ええと、じゃあ、俺が背中で隠すから…」

勇者「お願いそうして。お願い」ギュッ

戦士「ああ…」ジリジリ

「こっちで声しなかった?」

「したな」

ガサガサ

戦士(ま、まずい…!!!)

ガサッ

勇者「…っ」ギュ

男「おーい、大丈夫か?」

男2「誰かいるかー?」

109: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)17:30:49 ID:wfE
戦士「…」

勇者「…」

男「うお、おいやばい」

男2「ん?…うわっ」

ガサガサ

「…見た?」

「あ、ああ」

「おとりこみ中だったみたいね…」

「なんか悪かったな」

「気づかれてないよな…」

「多分…」

ガサガサ

勇者「…」

戦士「…」

勇者「…」

戦士「行ったか…」

勇者「行ったかじゃないよ、早く退いて」

戦士「…」バッ

勇者「…び、…びっくりした…」

戦士「す、すまん…。混乱した」

勇者「け…結果的にしのげたからセーフだね」

110: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)17:33:20 ID:wfE
勇者「はあ、手で口覆うことないじゃん。息できなかった」

戦士「いや、お前叫ぶだろ」

勇者「いきなり押し倒されたら誰だって叫ぶよ!」

戦士「わ、分かった。すまない。早く帰ろう」

勇者「う、…うん」

戦士「もうすぐだからな」

勇者「…」コクン

戦士「…」

勇者(あー、…びっくりした…)

戦士(なにしてるんだ俺はなにしてるんだ俺はなにしてるんだ俺は)

勇者「…」ジー

勇者(おっきいんだな、戦士って)

勇者(力も強かったし、全然払いのけられなかった)

勇者「…」

勇者(なんか、悔しいな)

112: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)17:36:43 ID:wfE
勇者「ただいまー」

爺「おかえ…ビャーッ!!!」

婆「おかえ…ミャーッ!!!」

戦士「…着替え取ってくる…」ソソクサ

爺「まさか!嘘じゃろ!あやつめ巻物を曲解しよったな!戦士がネコだと言うとろうに!」

婆「ああ、どこも痛くない?怪我は?大丈夫?」

戦士「違う!!!!!!!!!!!!!なんだあんたら!!!!」

勇者「えっと、魔物に服をとかされちゃって。えへへ」

爺「なんじゃ…。びっくりしたわい。わしゃてっきり…」

戦士「ジジイ!!!!!!!!!!!!!」

爺「おお怖」

戦士「ほら、お前さっさとこれ着ておけ!風邪ひくだろ!!」

勇者「はーい」

113: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)17:40:17 ID:wfE
爺「そんで、ブツは手に入ったのか」

勇者「うん。ほらこれ」

爺「おおーう。立派なもんじゃな」

婆「なつかしいわあ。商人から買ったときは高くて目ん玉飛び出るかと思ったわ」

勇者「そんなに高いの?もっと取ってくればよかったかな…」

戦士「二度とごめんだあんなの」

勇者「…えへへ。助けてくれてありがとう」

戦士「…当たり前だ」

爺「まあまあ、今日はもう遅いから2人とも休め。寝床は整えておいたぞ」

戦士(もうだめだ、嫌な意味にしか聞こえない…)ゲッソリ

114: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)17:43:11 ID:wfE
勇者「…すぅ、すぅ…」

戦士「…」

勇者「んん…」ゴロン

戦士「…」ムクリ

戦士(…水…)

ガタ

爺「…ん、おお」

戦士「あ、起きていたのか…」

爺「ジジイになると頻尿でな。なかなか寝付けんわい」

戦士「そうか…」

爺「…お前さんも眠れないのか?」

戦士「…」

戦士「情けない話…そうだ」

爺「ふぉっふぉ、まあそんなときもあるさ。どれ…」カシャン

爺「どうじゃ、一杯。付き合うぞ」

戦士「…いいのか」

爺「ああ、どうせわしじゃ呑みきれん」

戦士「じゃあ、貰おう」

爺「んん」

115: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)17:46:04 ID:wfE
爺「勇者から聞いたぞ。色々大変だったそうじゃな」

戦士「まあ…」

爺「お前さん、案外頼もしいじゃないか。守ってもらったってうれしそうに言っておったぞ」

戦士「…はは、あいつ、ドジで…。俺がいないと危なくて」

爺「うむ、うむ。おなごはそれ位がちょうどいい」

戦士「…まあ今はおなごじゃないけど…」

爺「…」

戦士「…はぁ…」

爺「ちんこ付いてたか?」

戦士「」ブホォ

爺「見たんじゃろ?」

戦士「貴様…」

爺「どうじゃった?」

戦士「動揺したよ!めちゃくちゃ動揺した!」

爺「サイズは?」

戦士「結構ある!!!」

爺「うほっ…」

戦士「くそ…俺は…くそぉ…」

118: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)17:49:49 ID:wfE
爺「だろうなあ。ばあさんもわしの花園を見たときの動揺が」

戦士「聞きたくねえよ…」

爺「んま、それでもただの“動揺”じゃ」カラン

戦士「…どういうことだ」

爺「だから、驚いただけ、ってことじゃよ」

爺「愛する者の根底はなーんも変わらん。男か女かの違いじゃ」

戦士「それが大きいんだよ」

爺「若いのお」

戦士「若いとか…そういう問題じゃ…」

爺「して、お前は勇者のムスコを見て動揺して、どう思ったのじゃ」

戦士「どうって」

爺「嫌悪感が?」

戦士「…いや」

爺「今までどおりか?」

戦士「…。可哀想だと、思ったよ…。俺は男だから、まあ…。あれだけど…。あいつは女で…。しかも嫁入り前で…」

爺「それで?」

戦士「…」

戦士「…どうにかしなきゃな、って…」

爺「うむ。それでこそ男じゃ」

119: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)17:53:29 ID:wfE
戦士「…頭ではそう思ってるが、…でも…」

爺「後が怖いか?」

戦士「ああ…」

爺「…」

戦士「俺がソッチだろ?その後の…ほら、…あるだろ…」

爺「まあわしはレズレズだったから何とも言えんがのぉ…」

戦士「そっちのほうが良かったかもしれない…」

爺「しかし問う」

爺「このまま彼女が可哀想な体のまま一生過ごすのか…」

爺「それともヤっちゃって気まずいのか…」

爺「どっちのほうが良いんじゃ?」

戦士「…」

戦士「俺は、…」

戦士「あいつが、治るなら…。それで…。いい、が…」

戦士「やっぱり、あいつの気持ちも…聞かないと、いけないよな…」

爺「そうじゃな」

戦士「…」グイッ

戦士「…もう一杯」

爺「ほっほ」

123: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)17:57:16 ID:wfE
勇者「ふぁ…」

勇者「…」

勇者「せんし…?」

ガチャ

戦士「…」スピースピー

爺「…」スヤースヤー

勇者「うわ、お酒くっさ!」

勇者「ちょっと戦士、起きてよ!朝だよ!」

戦士「ん。あ、…うう…」

勇者「町に材料買いに行くんでしょー!」ユサユサ

戦士「ちょ、…わかったから、…やめ…」

勇者「おきてー!」

戦士「…」

勇者「えへへ、ほら。酔ってる場合じゃないよ?」

戦士「ああ…そう、だな」

爺「ンガッ」ビク

爺「…ふぁあ、なんじゃ朝からイチャイチャしおって…」

戦士「してねーよ。酒瓶で頭カチ割るぞ」

爺「わしより先にツブれたくせによう言うわい」

戦士「んぐ…」

勇者「えー、そうなんだー。戦士だっさーい」クスクス

戦士「うるせえ!」

127: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)18:01:08 ID:wfE
婆「じゃあ今日で材料はそろうんだねえ」

勇者「うん!その予定」

爺「ほんじゃ、ばあさん。釜を出しといてあげようじゃないか」

婆「ああ、そうね。どこにしまったかしら」

勇者「魔女みたいにグツグツするの?」

爺「そうじゃよ」

勇者「えー!すっごい!すごいね、戦士!」

戦士「ん?…あ、ああ。すごいな」

爺「ほれ、シャキっとせい」ピシッ

戦士「った…。はいはい…」

爺「買い物に行くんだったら、これも買ってきておくれ」

戦士「おい」

勇者「いいじゃん。お世話になってるんだから当然だよ」

戦士「…分かった。夕方には帰る」

婆「気をつけていくんだよー」

爺「同じくー」

勇者「うん!いってきまーすっ」

婆「…別に買うものなんて無いでしょうに」

爺「あるんじゃよ…。あやつにはな…」

132: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)18:05:44 ID:wfE
=市場

勇者「えーっと、それからこの香草と木の実と…乾燥きのこを」

「あいよー」

勇者「はい、お代。ありがとうございましたー」

カラン

戦士「買えたか」

勇者「うん。これで全部」

戦士「意外と安くそろえられたな」

勇者「ねー。拍子抜けだな、なんか」

戦士「だな」

勇者「ねえ、そういえばおじいちゃん達の買い物をしなきゃ」

戦士「忘れるところだった。メモは…」ガサガサ

ピラッ

戦士「…」

戦士「」

勇者「なに?見せてー」

戦士「」

133: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)18:08:32 ID:wfE
勇者「ねえ、なに?」

戦士「…勇者」

勇者「なに」

戦士「小遣いをやろう」

勇者「え!?なんで!?」

戦士「これで何か美味しいものでも食べていなさい」

勇者「どうして?ねえ、お買い物は?」

戦士「俺1人で行ってくる。お前は広場で待ってろ」

勇者「…なんで?」

戦士「…小遣いを2倍にしよう。好きな物を買いなさい」

勇者「やったー!!!行ってらっしゃい!」

戦士「…」フラリ

戦士「…」ピラッ



「買う物: ローションと座薬とゴム(ゴムは無くても可)byジジイ」

139: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)18:39:43 ID:wfE
「おまたせしましたー、5種のベリーのパフェです」

勇者「うっひょー」キラキラ

勇者(戦士がケチだからこういうのなかなか食べられないけど…)

勇者(いやー、たまにはこういう贅沢もしなきゃね!)

勇者「いっただっき…」

ヒソヒソ…

「ねえ、あの人…」

「うわ、かっこいいなあ…」

「1人でいるんなら、声かけてみようかな…?」

勇者「…」モグ

勇者「…」

勇者(あれ、…)

勇者(言うほど、美味しくない、な)

勇者(ていうか、味…しない)

勇者(…)

勇者(でも、…食べなきゃ。もったいないし…)

「あ、また食べる」

「口ちいさい~可愛い~」

「舞台俳優のあの人に似てない?」

「ううん彼よりも…」

勇者「…」モソモソ

140: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)18:42:00 ID:wfE
カラン

勇者「…」

勇者「まだ、こんな時間か…」

勇者「戦士、いつになったら戻ってくるのかな…」

勇者「…」テクテク

勇者(あ)

勇者(洋服のお店だ。…うわ、安売りしてる!)

勇者「…かわいい」ジー

「何かお探しですかぁ?」

勇者「ひゃ!あ、…あ、いえ…」

「彼女さんにですか?でしたら中に…」

勇者「…」

勇者「彼女じゃ、…ないよ…」

「はい?」

勇者「…」ダッ

「あ、待っ…」

勇者「…っ」ダダダ

141: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)18:46:20 ID:wfE
勇者「はぁ、はぁ」

勇者「…っ」

勇者(男じゃない…)

勇者(男じゃ、ないのに…)

勇者(違うのに…っ)

ドンッ

勇者「ひゃあ!」

「きゃっ…」

勇者「あ、ご、ごめんなさい!大丈夫ですかっ」バッ

女「いたた…。んもう、気をつけてよねぇ」

勇者「ご、ごめんなさい…手、つかんでください」

女「…」キョトン

勇者「…?」

女「あら、…あなた。ふふ、かぁわいいわね」ニコ

勇者「あ、……。いえ、…」

女「女の子かしら」

勇者「!」

女「なーんてね。ふふ、ごめんなさい。なんだか少女みたいに見えたから」

勇者「あ、…(この人…分かってくれた…?)」ドキドキ

女「こんな道を突っ走ってどうしたの?用事?」

勇者「い、え…。その、…ただ、…嫌なことがあって」

女「あはは、分かるわよ。私もなんだかムシャクシャしたら、体動かしたくなるもん」

勇者「…そう、ですか(…綺麗な人だなぁ…)」

女「何か悩みでもあるの?私でよければ聞くわよ」

142: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)18:48:43 ID:wfE
=一方

戦士「…」

「帰って早速使おうな」

「んもう、やだぁ~」

戦士「…」

「ヒッ…」

「い、いこう」

戦士「……」

戦士(どうする、俺…!!)

「ねえ、店長」

「あーん…なんだ…」

「あの人、さっきから入り口付近で動かないよ?」

「…あの男か?」

「怖くない?」

「ありゃあ、あれだ。…初めての客だな」

「ああやって入り口で葛藤してんのよ」

「はあ、なるほど」

戦士(どうするんだ、俺……!!)

143: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)18:52:31 ID:wfE
女「何か飲む?」

勇者「いいんですか?」

女「いいわ。あなた可愛いからあたしの奢りで」

勇者「あ、ありがとう…」チラ

「…」

「…くすくす…」

勇者(綺麗な女の人ばっかり…。それに、良いにおい…)ドキドキ

女「それで、悩みってなぁに」

勇者「あ、…僕…」

勇者(…本当は女なんです、なんて言えないよね…。言いたくもないし…)

勇者(多分信じてもらえないだろうし…)

女「どうしたの?」

勇者「あ、…実は、…僕、…」

女「ゆっくりで良いわよぉ。緊張しないで」ナデ

勇者(…優しい…。この人なら…)

勇者「…ぼ、く…。女、なんです。本当は」

女「…」キョトン

勇者(あ、言っちゃった…)

女「女…なの?」

勇者「…は、はい」

女「ふふ、ここ、あるのに?」ツン

勇者「ひゃっ」ビク

144: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)18:56:05 ID:wfE
勇者「あ、あるけど、…女なんです…」

女「へぇー」

勇者「…信じてもらえないですよね…」

女「ううん」

勇者「え」

女「いるわよ、そういう人。…はい、飲んで」

勇者「あ、ありがとう…。えっと…?」

女「自分のカラダと性別が一致しない人。この仕事してると、いろんな人に会うわけ」

女「意外と多いのよ、知らない?」

勇者「…」フルフル

女「あら、そう…。でも心配いらないわよ。好きにすりゃいいのよ」

勇者「好きに…?」

女「そ。他人の言うことなんか気にしなくていいの。自分の思うまま振る舞えばいいのよ」

勇者「…」

女「私は、あなたが女でも素敵だと思うわ」ニコ

勇者「…っ」

女「あ、あら。なに目潤ませてるの」

勇者「あ、ありがとうございますっ…」ゴシゴシ

145: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)18:58:50 ID:wfE
勇者「ぼ、僕…。うう、…今までずっと…」

女「あー、泣かない泣かない。大丈夫よ」ナデナデ

勇者「ありがとうございます…」グスッ

女「どう?楽になった?」

勇者「はい…とても」

女「ふふ、良かった。ほら、泣いたら喉渇いたでしょ。これ飲みなさい」

勇者「はい」ゴク

勇者「…美味しい。なんですか、これ」

女「オトナの飲み物。ふふ、お嬢さんには少し早かったかなー」

勇者「…」

勇者「あ、お酒!?」

女「そう。あなた、いくつ?」

勇者「じゅ、18…」

女「あらあ、ならもうオトナよ。ようこそ、オトナの世界に」コチン

勇者「…おとな…」

146: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)19:02:01 ID:wfE
女「ほら、陰気くさい気分なんか飲んで忘れちゃいなさい」

勇者「…は、はい」

女「お姉さんが全部奢ったげるから。ほら」

勇者「ありがとう、ございます」

女「ふふ、かーわいい」ナデナデ

勇者「…」トロン

女「お姉さんに甘えたっていいのよ。辛かったでしょ?」

勇者「うん…」

女「ぎゅーしてあげる。ほらっ」ギュウ

勇者「んむ。…あ、…」トロン

女「ね、お姉さんのおうちにおいで?全部忘れさせてあげるから」

勇者「…」

女「ね、お嬢さん?」クス

勇者「は、…い」

女「じゃあ、決定」

147: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)19:05:12 ID:wfE
「ありがとうございましたー」

戦士「…」

戦士「…」ガサッ

戦士「はぁあ…」

戦士「だんだん…戻れなくなってきた…」

戦士「…少し風に当たろう…」ボンヤリ

「うふふ、ほら。フラフラじゃなぁい」

「ごめんなさ…」

「ほら、頑張れ頑張れ。もうちょっとよ」

戦士「…」

戦士「…」ビキッ

戦士(俺の気も知らないでどいつもこいつも…!)

戦士(くそが!どこの馬鹿どもがこんな往来でイチャついてやが)

女「きゃっ、もう~。しっかりってばぁ」

勇者「お姉さん、ごめんなさい…」

戦士「勇者ぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

149: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)19:09:44 ID:wfE
女「な、なにあんた」

勇者「ん、…む…?」

戦士「お前何やってんだ馬鹿!!広場で待ってろったろうが!!なんでこんな裏道にいんだ!!」

勇者「…あれ?戦士…?」

戦士「お前ぇええ!まさか俺のやった小遣いで女を買ったわけじゃないだろうな!?何血迷ってるんだ!?」

女「ちょっと、何よあんた。勇者の知り合い?」

戦士「知り合いもなにもド知り合いだよ!!おい立て勇者!帰るぞ!!」

勇者「ちからはいんないよ…」クタ

戦士「じゃあ引きずってやる!この大馬鹿!!」

女「…」ムカッ

女「ちょっとやめなさいよ!勇者に汚い手で触らないで」ピシャッ

戦士「あぁ!?」

女「私の家に来るって言ったんですもの。ね?」

勇者「…んー…」

女「ほら」

戦士「おまっ…勇者…」

女「あんた、勇者の何なの?怪しいんだけど」

戦士「お前に言われたくねーよ!!誰だお前、娼婦街の奴だろどーせ!格好見りゃ分かるんだよ!」

150: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)19:13:27 ID:wfE
女「ねえ勇者、このデカブツ誰なの」

勇者「ん。…せんし…」

女「…ふうん。知り合いなのは分かったけど、今日は私のお家に来るんですものね?勇者?」スリ

勇者「ふふ、くすぐったいよお…お姉さん…」クスクス

戦士「…」イラッ

戦士「…とにかく帰るぞ、ほらっ」グイ

女「ちょ…。…あ、まさか!!」

戦士「あぁ?」

女「あんた、まさか…。勇者が女だって言ったのは…」

戦士「おま…そんなことまで…」

女「…」

戦士「…」

勇者「せんしぃ、…かいもの、おわったぁ…?」

女「買い物…?……その袋、そこのアダルトショップの…」

戦士「帰るぞ勇者」

151: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)19:18:03 ID:wfE
女「…信じられない、この変態!!!」

戦士「お前は重大な勘違いをしている、こんな袋を持って言うのも何だが重大な勘違いを」

女「勇者っ、こいつに酷いことされてたってわけ!?」

勇者「ひどい…?ふふ、…んー」

女「やっぱり!!!!!!!!きっしょ!!!!」

戦士「違う!!!誤解だ!!!」

女「このクソ××!!こんな無垢な子に一体何してんのよ!?」

戦士「おい今俺はその単語が逆鱗なんだよ殺されたいのかクソアマ」

戦士「それにお前こそ勇者家に連れ込んで何しようとしてた!あぁ!?」

女「うるっさいわね!いいから勇者離しなさいよ!」グイッ

戦士「てめーが離せこの××××××!!!!!」

女「××!!死ね!!××!!!!」

勇者「…」

勇者「…うるさい…」グイッ

女「きゃっ…」

勇者「ごめんね、おねーさん。…また今度、あそぼうね…」ギュッ

女「ゆ、勇者…」

勇者「…戦士、いこ…」

152: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)19:21:47 ID:wfE
戦士「お…」

勇者「…あと、…女の子に…×××とか…言っちゃだめ。あやまって」

戦士「…」

女「…」

戦士「すまん…」

女「あ、いえ…」

勇者「よし、いいこ」ナデナデ

戦士「…」

勇者「かえるがなくから、かーえろ。んふふー」

勇者「ばいばい、お姉さん。またねー」ヒラヒラ

女「う、…うん…」

戦士「…」

勇者「ふふ」

戦士「お前、呑んだな」

勇者「ごめんなさーい」ヘラ

戦士「…ったく、どうせ知らず知らずのうちに呑んだんだろ…。危ないとこだった」

勇者「また戦士にたすけてもらっちゃったね」ギュッ

戦士「…ああ。ほんと、俺はいつも助けてばっかだな。少しは助けてもらいたいよ」

154: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)19:52:36 ID:wfE
勇者「ごめんね」

戦士「もうなんか…良いよ別に」

勇者「へへ」

戦士「…」

戦士「ところでお前さ」

勇者「ん?」

戦士「×××って…意味分かってるのか?」

勇者「え?うん」

戦士「…どういう意味だ?」

勇者「誰とでも寝ちゃうおんなのひと」

戦士「…オーケー少し待て。…」

戦士「おかしいな、俺の認識とお前の性知識が一致しないなぁ。んん-?」

勇者「なにが?」

戦士「…子どもがどうやってできるか分かるか?」

勇者「子どもぉ?…まずね、男の人と女の人がけっこんして…」

戦士(コウノトリが…だろ)

勇者「…」

戦士「コウノ…」

勇者「えぇ、これ僕に言わせるの?せくはらだよ」

戦士「…」

勇者「戦士?」

戦士「…なん…だと…」

155: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)19:55:10 ID:wfE
戦士「…」

勇者「あのさあ、僕18歳だよ?」

戦士「待て」

勇者「ん?」

戦士「巻物の意味は?」

勇者「ああ、…あれまだ分かんない…」

戦士「子どもはどうやってできる?」

勇者「言わせないでよぉ」

戦士「巻物」

勇者「分かんないんだってば」

戦士「…」

勇者「何?」

戦士「…こんなことってあるのか…?」

勇者「え?」

戦士「神がお前の脳のつくりをおかしくしたとしか…」

勇者「僕ばかなの?」

戦士「ああ」

勇者「しょっくだ…」

戦士「俺のほうがな」

156: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)19:59:05 ID:wfE
勇者「ん…すぅ…」

戦士「…」

戦士(参った)

戦士(やはり基本的な保健体育の知識は身につけていたか…)

戦士(いやどこでそんなの…。いやいい…。生きてれば身について当然だ…)

戦士(あわよくば、あわよくば)

戦士(ふわっと終わらせてふわっと無かったことにしようと思ってた)

戦士(あれは新種のプロレスなんだみたいな…ことで…ごまかして…)

戦士(…)

勇者「…」スピー

戦士(18歳かぁ…)

戦士(そんで俺は22歳だ…)

戦士(…)

戦士(まずいのか、これ…)

157: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)20:01:37 ID:wfE
戦士「…ただいま」

爺「おお、お帰り。遅かったな」

戦士「ちょっとまあ、色々あってな」

爺「おや、お嬢さんはご就寝かい」

勇者「…」スピョー

婆「あらあら。もう寝床に運んであげなさいな」

戦士「ああ…」ガチャ

ボフ

勇者「…」

戦士「…」

戦士「はぁ…」ガチャ

爺「して、買ってきたのか?」

戦士「…」

爺「ん?」

戦士「察してくれないか?」

爺「おお、ちゃんとあるようじゃな。感心感心」

戦士「…」ゲッソリ

158: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)20:05:07 ID:wfE
爺「明日、薬を調合するんじゃな」

戦士「そーだよ」

爺「ふむ。して?」

戦士「して、って…」

爺「彼女に確認はとったのか?」

戦士「…」

爺「あきれたもんじゃな。全く、図体はでかいくせに小心者じゃな。あそこも」

戦士「そんな単純な問題じゃないんだよハゲ!!!」

爺「単純極まりないじゃろがい。セックスしようでいいんじゃ」

戦士「デリカシーなさすぎんだろ泣かれて終わるわ」

爺「だってその方法しかないんだもん」

戦士「分かってるよ!!ああ!!」ガシガシ

爺「…なーにをそんなにクヨクヨしてるかのー。なあ、ばあさん」

婆「やってしまいなさいな」

戦士「老害どもめ…」

159: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)20:09:16 ID:wfE
婆「なんならわしが聞いてやろうか」

戦士「いいねそれ最悪だ」

爺「男ならドカンと当たって砕けるんじゃ。好きな女のためじゃろ」

戦士「す…」

婆「あら、違うのかい?」

戦士「…あ、ああ。なんていうか、保護者として俺は…」

爺「…こいつインポなんじゃないか?ばあさん」

戦士「おい、ジジイ。土の下行きたくなかったら黙れ」

爺「だってそうじゃろー!普通好きになるよなあ?」

婆「あら、馬鹿ねえ。男って。好きなのよ、とっくの昔に」

戦士「だから」

婆「隠すのに必死になっちゃってもー。女は待ってるかもしれないっていうのに」

戦士「ちょっと」

爺「なるほどなあ…。確かにわしが若いころも」

戦士「…」

戦士「寝る!!!」バン

爺「寝る前に準備を忘れるなよ。いきなりは痛いからな、いくらなんでも」

戦士「黙れ!」

バタン!

160: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)20:12:52 ID:wfE
戦士「…」

戦士「……」ガシガシガシガシ

戦士「…」ハァ

戦士「…」ボフン

戦士(あーーーー)

戦士(くそーーーーー)

戦士(神様ーーーーーーーーー)

戦士(この際俺はどうなってもいいけど勇者との関係だけはーーーー)

戦士(記憶消す薬とかないのかーーーーどっかにーーーー)

戦士(魔法でもいいーーーー)

戦士(神様ーーーーぁああああああああーーーーー)

戦士「…」

戦士「…はぁ…」

戦士「何が小心者だ…」

戦士「やるよ…。やりゃあいいんだろ…」

戦士「俺は勇者が無事ならそれでいいんだからよ…」

戦士「…」

戦士「あーでもなあ…」

……

161: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)20:15:38 ID:wfE
勇者「おはよう」ツヤツヤ

戦士「…はよ」ボロボロ

爺「さあねぼすけども、さっさと朝飯食って庭に集合じゃ」

婆「もう釜はスタンバってるからのお」

戦士「俺はいらない…」

勇者「なんで!食べなきゃぶっ倒れるかもよ?」

戦士「…」

勇者「魔法、魔法、魔法のくすりー」フンフン

戦士「…いただきます…」モソモソ

爺「ひさしぶりじゃのー。ばあさん」

婆「ええ、なんだかワクワクするねえ」

戦士「…」

勇者「ほんと!ドキドキするね!」

戦士「いろんな意味でな…」

162: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)20:19:31 ID:wfE
グツグツ

勇者「うわー、…でかい…」

戦士「マジで魔法釜じゃねえかおい」

婆「ひっひっひ…。さあ薬を作るよ…」

爺「雰囲気出るのお、ばあさんがいると」

婆「あ?」

爺「何でもない。…では勇者と戦士よ、材料を釜に放り込んでくれ」

勇者「はーい。まずは…これ」ポイ

戦士「…これか?」ポイ

爺「さあさあ景気よく混ぜるんじゃ、戦士」

戦士「俺かよ…」

爺「しっかり混ぜろー。失敗したら面倒じゃぞ」

戦士「はいはい、こうか?」グルグル

勇者「すごい、戦士魔法使いみたいだよ!」

戦士「真逆の職業なんだがな」グルグル

婆「仕上げじゃ、ツルの実を入れなさい」

勇者「はーい!」ポイ

ボフッ

戦士「うおおおおお!?」バッ

勇者「煙…。失敗?」

爺「いんや。成功の印じゃ」

勇者「!やったぁああああ!」ピョンピョン

163: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)20:23:20 ID:wfE
爺「あちち、ほれ、これを容器に移して」

戦士「ああ。おい、俺がやるから下がってな」

爺「積極的じゃのー」

戦士「黙れ。ほら、勇者。器持っててくれ」

勇者「はーい」

ドロロ

戦士「…」

勇者「うわあっつい」

戦士「で?」

婆「あとは冷まして完成じゃ。乙じゃぞ」

勇者「うわー、これなんか、すっごい良いにおい。くらくらするね」

爺「おお~懐かしいのうこの匂い…」

勇者「戦士もかいでみて。ほら」

戦士「ん。…おお、なんか甘いな」

勇者「くせになりそうだね」クンクン

戦士「…」

戦士「爺さんちょっと来い」

爺「なんじゃ」

戦士「…あれはあれだな」

爺「なにがなにじゃ?」

戦士「とぼけるなよ、おい」ダン

爺「ひい。ガタイのいい男に壁ドンされてもうれしくないわい」

戦士「…」

爺「ふう。分かった、そうじゃ。あれは魔法の薬。俗に言う、媚薬じゃ。古代のな」

164: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)20:28:30 ID:wfE
戦士「なんでそんなものが…」

爺「詳しいことは分からんよ。わしゃ魔法使いじゃないのでの」

戦士「…本当にあれで合ってるんだろうなあ?」

爺「合ってる合ってる。紛れもない本物じゃ」

戦士「…じゃあ、あれを」

爺「行為の前に2人で分け合って飲むといい。親密度アップじゃ」

戦士「…」

爺「あ、それと、これを」

戦士「なんだ、これ」

爺「まあわしらもお前さんたちのことは気に入っておるし、孫みたいなもんだと思い始める始末じゃが…」

爺「さすがにわしらの家でギシアンされるのも…のう?いや、勇者はいいんじゃがお前さんが…。聞きたくないというか…」

戦士「おい」

爺「てなわけで、わしが持ってる町一番のホテルの割引券をやろう。大丈夫、付録じゃから期限はまだじゃ」

爺「…と、まあ明日までじゃがな。あそこは普通に泊まると高いぞ~」

戦士「ジジイ」

爺「なんじゃ」

戦士「…」

爺「なんじゃ?」

戦士「怖い」

爺「…」フゥ

戦士「無理かもしれん。俺には、…。俺は…」

166: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)20:34:52 ID:wfE
爺「戦士よ」

戦士「…勇者に、…できない。こんなこと…」

爺「戦士よ」

戦士「怖い…」

爺「戦士」

戦士「…」

爺「…」

バキッ

戦士「ぐふぅ!!?」ズザア

爺「こんのアホんだらぁあああああああああああああああああああああああ!!!!」

爺「それじゃあ勇者が一生男のまま年を取り中年になりジジイになっていくサマを指をくわえて見てるが良いこのインポタンツが!!」

爺「お前はいつになってもウジウジウジウジそんなに自分のケツが大事なら最初から勇者を期待させなきゃいいんじゃ!!このインポタンツ!!」

爺「挙げ句の果てに嫌われるのが怖いじゃと?勇者をどこまで信用してないんじゃこのインポタンツ!!」

爺「あんな心優しい娘が一生懸命カラダを張って助けてくれたお前のことを嫌いになるわけないじゃろ!!いい加減にしろこのインポ!!」

爺「誰かが自分の代わりに勇者とするのも嫌なくせに!!!だったらお前が歯ぁくいしばって頑張るしかないじゃろ!!このフニャチンクソ野郎!!」

爺「男なら腹くくって好きな女を女に戻すため女になるくらいのことはせんかあぁあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

戦士「…」

爺「はぁ、はぁ…」

爺「はぁ…このイン」

戦士「分かった、インポはもういい」

168: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)20:40:28 ID:wfE
戦士「…」

爺「…ここまで言われてまだ…はぁ…抵抗があるなら…」

爺「お前はもう…ぜぇ…勇者のもとを…去るがいい…」

戦士「…」

爺「返せ、割引券…。わしが使」

戦士「いや、ありがたく受け取る」

爺「あ?」

戦士「じいさん…。あんたは正しい。いや、正しくない時もいっぱいあったが」

戦士「そうだな。俺は…勇者のパートナーだ。保護者だ、それに…」

戦士「…そうだな、俺の大事な、勇者だ…」

戦士「もう何も言わない。俺は腹をくくる」

爺「戦士…」

戦士「ありがとう、じいさん。あんたのおかげで大事なことが分かった」

爺「ほっほ、…いいんじゃよ」

戦士「…しばらく、勇者と一緒にいる」

爺「そうしなされ」

戦士「ああ。あ、それと」

爺「うん?」

戦士「俺はインポじゃねえっつってるだろこの痴呆ジジイ」バキッ

爺「たわば」ゴロン

戦士「じゃーな」スタスタ

169: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)20:42:44 ID:wfE
戦士「勇者」

勇者「んー?」

戦士「町に行こう。お前の回帰決定祝いに美味いもんでも食おうぜ」

婆「…」チラリ

戦士「…」コクリ

婆「そうね。いってらっしゃいな」

勇者「うん!なんか最近、戦士太っ腹だね」

戦士「今準備してくる。少し待ってろ」

婆「ふふふ…」

婆「若いっていいわねえ…」

爺「ばあさーん、起こしてくれー」

婆「なにやってんだいあんた」

170: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)20:48:09 ID:wfE
勇者「ねえねえ戦士、何食べるっ」

戦士「お前の好きなものにしろよ」

勇者「本当?」

戦士「ああ」

勇者「…なんか怖い。ねえ、本当に戦士?」

戦士「なーに言ってんだ。決められないなら俺の好物にするぞ」

勇者「やめて。僕辛い物無理なんだ」

戦士「知ってるさ」

勇者「んーと、んーと。じゃあねえ、…大きいステーキ食べたい!」

戦士「ステーキな。よっしゃ、じゃあ一番美味い店に行くか」

勇者「おー!!」

……


勇者「はー、食った食った」

戦士「だな」

勇者「やっぱ戦士のほうがたくさん食べれるねえ。すごいや」

戦士「当たり前だ。お前とじゃ胃袋がちげーんだ」

勇者「ふう、ちょっと苦しいかも…」

戦士「…」

勇者「戦士?」

戦士「…ほかに何か、…やりたいこと、あるか?」

勇者「んーん別に」

戦士「そうか…」

勇者「おじいちゃん家、帰るの?」

戦士「…」

戦士「きょ、…今日は…帰らん…」

172: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)20:50:31 ID:wfE
勇者「え。なんで」

戦士「…用事があるからだ」

勇者「何の」

戦士「…」

勇者「変なの」

戦士「…」

勇者「ねえ、帰ろうよお。もう暗くなっちゃうよ」

戦士「帰らないって言ってるだろ」

勇者「だから、なんで」

戦士「………」

戦士「お前、ちょっと俺の話を聞いてくれ」

勇者「?」

戦士「…川沿いに座って、話をしよう。大事な話だ」

勇者「う、うん」

戦士「…」

戦士(がんばれおれ…)ドッゴドッゴドッゴドッゴ

173: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)20:54:51 ID:wfE
勇者「わー、夕日沈んで綺麗だね」

戦士「ああ」

勇者「…で、話ってなに?」

戦士「…」

勇者「せーんし」

戦士(これはどこから切り出せば…)

戦士(ま、まずは巻物のことからか?いや急に切り出したらドン引きされるかもしれないしいやでも)

勇者「…」ジー

戦士「…」

戦士(男なら腹くくって好きな女を女に戻すため女になるくらいのことはせんか…か)

戦士(名言だな…いや、迷言だ)

戦士(…母さん、父さん。分かってくれ。俺の一番大事な女のためなんだ)

勇者「…ねえ、どうしたの?」

戦士「勇者」

勇者「はーい」

戦士「好きだ」

勇者「…」

戦士「…」

勇者「…え…?」

戦士「…」ドッゴドッゴドッゴドッゴドッゴドッゴ

174: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)20:58:38 ID:wfE
勇者「うん、僕も好きだよ。戦士のこと大好き」

戦士「…そっちじゃない」

勇者「え?」

戦士「異性として好きだという、意味だ」

勇者「…」

勇者「やだなあ同性じゃん」

戦士「そういうおふざけは今、いらん」

勇者「…」

戦士「お前は俺をどう思う」

勇者「…あ、…え、と…。戦士は、…大事だよ。すごく…。頼もしいし、すごく大事な…親友で、」

戦士「親友か」

勇者「…」

戦士「恋人にはなれないか」

勇者「…でもさ、僕、ほら。今」

戦士「俺はお前がお前なら、性別だってどうでもいい」

勇者「!」

戦士「…そういうことだ」

勇者「…え、あ、え。…え…」

戦士「…」

勇者「あ、…ありが、とう…」

戦士「どういたしまして」

勇者「…」

戦士(くそっ!!話の流れがおかしくなってきてないか!?)

182: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)21:02:01 ID:wfE
勇者「うれしいなあ、はは」

戦士「う、…うれしいのか。それは、どういう…」

勇者「…」

戦士「…」

勇者「ぷっ」

戦士「!?」

勇者「あはは、戦士、あはは。顔、おかしいよ。あはは」

戦士「はあ?!」

勇者「顔がね、真っ赤なの。タコみたい。あははは」

戦士「………」ギリリリリ

勇者「それにね、なんか、泣きそうなの。そんな顔、初めて見た。あはは。おっかしー」

戦士「おい!」

勇者「あはは、ごめんってば…」クスクス

戦士「それで、お前は」

勇者「ん」

戦士「…」

勇者「…」

戦士「お前は…」

勇者「…えと」

183: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)21:04:34 ID:wfE
勇者「…」

勇者「僕、人を好きになったことないんだ」

戦士「あ、ああ」

勇者「だから…。どういうのが好きっていうのか分からない」

戦士「…」

勇者「でも、戦士といると心地よくて、ずっと一緒にいたいって思うよ」

戦士「…あ、あ…」

勇者「あとね、たまにぎゅーってしたくなるかな。戦士はベタベタするなって怒るけど」

戦士「…」

勇者「これって、好き?」

戦士「…」

戦士「…ああ」

勇者「そっか」

勇者「じゃあ、戦士が好き」ニコ

戦士「…」

勇者「へへ。恥ずかしいな」

戦士(お、…おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!)

184: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)21:09:24 ID:wfE
勇者「ってことは戦士は、僕の初恋相手か」

戦士「ああ…」

勇者「どうぞよろしく」ペコ

戦士「よ、よろしく」

勇者「でも、まあ。こんな姿じゃ変か。早く薬使って戻らないとね」

戦士「来た」

勇者「え?」

戦士「いや、あ、違う。そのこと、なんだが」

勇者「うん」

戦士「…いいか、よく聞け」ズイ

勇者「う、うん」

戦士「お前は、薬を飲んでも元には戻らない」

勇者「…そうなの」

戦士「薬を、ある行為に使わなければならない」

勇者「へえ。…ん?行為って?」

戦士「…」スー

戦士「…」ハー

勇者「戦士、大丈夫?」

戦士「ああ。…いいか、1回しか言わない」

勇者「うん」

戦士「…性行為だ」

勇者「…」

勇者「誰と?」

戦士「俺とだ」

185: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)21:13:47 ID:wfE
勇者「…」

戦士「分かるか」

勇者「ううん」

戦士「分かれよ」

勇者「…だって、できないよ?」

戦士「それはどっちの意味でだ?機能面か、感情面か」

勇者「え、えと。……機能…?」

戦士「っほーうそれならお前は俺とセックスしても大丈夫なんだな、気持ち的には」

勇者「…うん多分」

戦士「…」

戦士「ん゛んっ…」

勇者「どうしたの」

戦士「胸の中にたまっていた水を抜いたんだ」

勇者「なにそれ」

戦士「あー、…そうだ。お前が言いたいことは分かる…。今お前は男で、俺も男だ」

勇者「うん」

戦士「しかし、あー…。心配するな…。できるから」

勇者「できないよ?」

戦士「できるんだ。…できるんだ」

勇者「…そうなの?でもどうやって」

戦士「そんなことを俺に往来で言わせるのか?」

勇者「あ、そうか。ごめん」

戦士「…で、できるのか」

勇者「…んー」

186: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)21:16:50 ID:wfE
勇者「…戦士は?」

戦士「…」

勇者「できるの?僕とセックス」

戦士「女がセックスとか言うな。…で、…できる。やろうと思えば」

勇者「じゃあ僕もできる」

戦士「じゃあって何だ、じゃあって」

勇者「これしか方法が無いんでしょう?ならやるしかないじゃん」

戦士「お…おう、そうだな」

勇者「でも、僕やりかた全然分からないよ。知ってる?」

戦士「…」

戦士「し、しら…調べた、から…。俺は、…分かる」プルプル

勇者「そっか、じゃあ…。えっと、…しなきゃね?」

戦士「…」

勇者「…えっと…」

戦士「いいのか?」ボソ

勇者「そっちこそ」

戦士「俺は良いに決まってるだろ」

勇者「僕もできるよ」

187: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)21:19:32 ID:wfE
戦士「あのなあ、張り合い合戦じゃねーんだぞ」

勇者「戦士にできて僕にできないわけないじゃん」

戦士「おいお前それどういう意味だ」

勇者「そのままの意味だけど?」

戦士「カッチーン。おいお前言うようになったな」

勇者「なに?本当のことだもん」

戦士「…いや待て。おい、今からする雰囲気じゃないぞ」

勇者「雰囲気?」

戦士「…」

戦士「もういい、お前ついてこい」グイッ

勇者「うわっ」

戦士「俺の決心が鈍らないうちにとっとと済ませよう」スタスタ

勇者「やっぱ怖いんだー。へー」

戦士「黙れ!!」

188: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)21:22:24 ID:wfE
勇者「…ここどこ?」

戦士「ホテル」

勇者「ふーん」

戦士「…」

勇者「…」

戦士「どこがいい」

勇者「え?うーん、別にどこでも?」

戦士「ほんっとお前、張り合いがねえな!もういいよ適当に決める」

勇者「何怒ってるの?」

戦士「今ナーバスなんだよ!頼むから黙るか寝るかしてくれ!」

勇者「…」

ギュ

戦士「お…」

勇者「じゃあ手をつないでおこう」

戦士「な、…なんで」

勇者「僕が怖がってるとき、戦士がよくしてくれるから」

戦士「…しねえよ」

勇者「最近はね。だからちょっと寂しかった」

戦士「…」

勇者「戦士の手、おっきい」

戦士「お前がちっせえんだよ…」

189: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)21:25:12 ID:wfE
バタン

戦士「…」

勇者「…」

戦士「…えと」

勇者「ベッド大きいねー。1つしかないけど」

戦士「あ、ああ…」

勇者「…どうするの?」

戦士「まずは、…風呂」

勇者「ふたりで?」

戦士「ごめんだ。お前が先に入ってこい」

勇者「やった」

戦士「…ゆっくりでいいからな、ゆっくりで」

勇者「うん」

ガチャ バタン

戦士「…」

戦士「…」スッ



戦士「うぐっ…」


ジャー

190: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)21:28:09 ID:wfE
勇者「戦士ー」ヒョコ

戦士「…」

勇者「何遠い目してるの。大丈夫?」

戦士「あ!?あ、ああ。大丈夫だ全然何の問題もない」

勇者「お風呂あがったよ。どうぞ」

戦士「あ、…ああ…」

勇者「いってらっしゃーい」

戦士「…おう…」

バタン

戦士「…」

戦士(なぜだ)ダン

戦士(何故やつはあんなにも冷静なんだ)

戦士(おかしいだろ絶対おかしいだろ絶対)

戦士(やっぱあれか?セックスのことをかくれんぼか何かと思ってるんじゃないのか?)ジャー

戦士(怖い怖い怖いよもう俺説明する勇気も気力もないし腹の中空っぽでなんか気持ち悪い)ワシャワシャ

191: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)21:30:22 ID:wfE
戦士「…」バタン

戦士「くそ…」ゴシゴシ

戦士「よし、深呼吸だ。深呼吸。…いくぞ…」

戦士「そうだよく考えろ、相手は女だぞ?何を萎縮してるんだ。何も問題は無い」

戦士「別に童貞なわけじゃないしまあ処女ではあるが落ち着け、落ち着け」

ガチャ

戦士「…」

戦士(え?うす暗い)

勇者「あがったー?」

戦士「あ、…ああ」

勇者「こっちー」ヒラヒラ

戦士(ベッド!?)

192: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)21:33:44 ID:wfE
戦士「…待て、一旦待ってくれ。俺も急にはできない」

勇者「えー?」

戦士「一回電気つけていいか?ちょっと話というか最終確認をしたいんだが」

勇者「いいよもう、僕は準備できてるし」

戦士「俺ができてねーんだよ馬鹿野郎!!いいからさっさとこっち来て座」グイ

勇者「ひゃっ」

戦士「…」

勇者「あ、…ちょっと」バッ

戦士「…服を着ていないのは何故だ」

勇者「…」

勇者「だって、邪魔なんじゃないの」

戦士「待て、…お前…」

勇者「もういいよ、早くしちゃおうよ。ほら」グイ

戦士「!!!!いやちょ待」

勇者「痛くても我慢するから。戦士の言うこと聞くし」ドサ

戦士「あ…」

勇者「…どーぞ」

戦士(あ、俺肝心なこと伝えてなかった…)ボー

193: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)21:36:05 ID:wfE
勇者「寒いし恥ずかしいから早くしてほしい」

戦士「あのな、勇者」

勇者「なに…」

戦士「…」

戦士「逆だ…」

勇者「は…?」

戦士「上と下が逆なんだ」

勇者「…は?」

戦士「…」

勇者「なにそれ?どういうこと?」

戦士「なんていうのかな。俺が、お前の役だ」

勇者「…?」

戦士「…」

戦士「分からないか…?」

勇者「…」

戦士「…」

勇者「…」

戦士「…」

勇者「ぶふっ…」

戦士「」

194: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)21:38:44 ID:wfE
勇者「え?待って待って…」プルプル

戦士「」

勇者「え?僕が、僕が男の人をするの?え?」

戦士「そうだ」

勇者「で、戦士は女の人をするの?」

戦士「そうだ」

勇者「逆じゃないの?僕てっきり…」

戦士「俺も逆だったらどんなに良いかって思うよ」

勇者「え、ちょ…ぶふっ…」

戦士「笑うな!!!!!!笑ってる場合か!!!!」

勇者「だっておかしいもんだって…戦士が?戦士が…ふふっ…」

戦士「んぁああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

勇者「え、本当に?何かの間違いなんじゃないのー?」

戦士「間違いじゃないから現におれは苦しんでるんだろうが!!!」

勇者「あらー…それは…」

196: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)21:42:14 ID:wfE
戦士「さあ座れ。会議だ」

勇者「…」

戦士「どうする」

勇者「うーん。でもまあ、僕はどっちでもいいよ」

戦士「は」

勇者「戦士は嫌かな。気持ち悪い?」

戦士「分からん…。未知の領域だし」

勇者「…やろっか」

戦士「…」

勇者「ね?」

戦士「…」

戦士「い、…言っておくが」

勇者「ん」

戦士「お前の外見が男で、そして役も男であろうとも、お前は女だ」

勇者「うん」

戦士「だから主導権は俺が握る。間違っても俺より優位に立つな」

勇者「よくわかんないけど、それが戦士の砦ならそうするよ」

戦士「よし。じゃあ、まずだな」

戦士「これを半分ずつ飲む」キュポン

勇者「薬を?分かった」

197: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)21:44:49 ID:wfE
戦士「…」

勇者「…」

戦士「早く飲め」

勇者「そっちこそ」

戦士「お前が先だろ」

勇者「主導権は戦士なんでしょ、そっちが先」

戦士「ああ!!もういい、同時だ同時!」

勇者「分かった。せーの」

ゴクッ

勇者「…」

戦士「…」

勇者「あっま」

戦士「おえっ…」

勇者「で、次は?」

戦士「…」

勇者「ねえ」

戦士「…あー、…いちいち聞かれるのも…なんか、その」

勇者「えー?じゃあ戦士がやってよ」

戦士「わ、分かった。そうする。お前は何もするな、いいか。何もするなよ」

勇者「はいはい」

199: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)21:48:28 ID:wfE
戦士「…」グイ

勇者「わ」

戦士「乗れ」

勇者「膝に?わかった」ギシ

戦士「…で、…目を閉じろ」

勇者「ん」

戦士「…」

勇者「まだ?」

戦士「……少し待て」

勇者「えー」

戦士「…」スーハー スーハー

勇者「はやくー」

戦士「ああもう、うるさい!」ガッ

戦士「…っ」

勇者「…」

戦士「す、するぞ」

勇者「どうぞ」

戦士「…」

勇者「ん、」

戦士「…っ」

勇者「んぅ」

200: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)21:51:32 ID:wfE
戦士「…」スッ

勇者「ぷは」

戦士「…」

勇者「キス、初めてした」

戦士「そ、…そうか」

勇者「なんか気持ちいいね。もっとして」

戦士「…命令するな」

勇者「ごめんごめん」

戦士「…」カプ

勇者「ん」

戦士「口、ちょっと開けろ」

勇者「こー?」

戦士「ああ…」チュ

勇者「!ひゃ、」

戦士「…っ」チュプ

勇者「ん、…んぅ、…は…」

戦士「…っ、はぁ、はぁ」

勇者「んーーーっ」グイグイ

戦士「…くるしいか?」

勇者「…」コクコク

戦士「我慢しろ」グイ

勇者「!ぁ、んーっ…!!」

203: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)21:55:20 ID:wfE
戦士「はぁ、…はっ…」

勇者「…っ、う…」クタ

戦士(…なんか暑いな…)ゴシ

勇者「ね、…布団いかないの」

戦士「あ、…そうだな。いこう」

ドサ

勇者「戦士が上?」

戦士「主導権は俺だと言ったろ」

勇者「うん、…」

戦士「ほら、口閉じて。集中だ」チュ

勇者「うわ、…ねえ、そこ」

戦士「いいから」ハム

勇者「んー、お、…おかしく、ない?そこ、…女の人の…」

戦士「…」チュッ

勇者「ぁ、…ふ…。ねえ、…変だってばぁ…」

戦士「うるさい…」レロ

勇者「あ、んっ…はぁ、ちょっと…」

戦士「…っ」ゴクッ

205: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)21:58:04 ID:wfE
勇者「う、…っ。あ、…う…」ビクッ

戦士(…やわらかい)

戦士(肌、熱くてすべすべしてて…。女みたいだ…。いや、…女だけど…)

戦士(声も…。高くて、…すごく、可愛い)

勇者「ねえ、ねえ」

戦士「何だ」

勇者「…なんか、おへその下が痛い」

戦士「は?臍…」チラ

勇者「…」

戦士「!!」

勇者「うわ、なにこれ…」

戦士「お、落ち着け。生理現象だ。男はみんなこうなる。大丈夫だ落ち着け」

勇者「戦士がね」

207: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)22:00:53 ID:wfE
勇者「うわー、なにこれ…。大きくなってる」

戦士「…男だからな…」

勇者「なんか、戦士のズボンとすれて変なかんじになる」

戦士「あ、すまん」

勇者「ねえ、戦士はどう?」

戦士「は、はあ?」

勇者「なってる?ここ、大きく」

戦士「…」

勇者「見せて」

戦士「嫌だ」

勇者「なんで!」

戦士「うるさい!」カプッ

勇者「ひゃ、…っ。ねえ、いいじゃん。…んっ…。見せてよ…」

戦士「…うる、…さい…」カプカプ

勇者「んんっ…。は、ぁ…」ビクッ

208: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)22:04:28 ID:wfE
勇者「僕が裸なのに、…戦士は着てるの、…おかしくない?」

戦士「…」

勇者「ねえ、」

戦士「分かった…」シュル

勇者「やった」クスクス

戦士「…」パサ

勇者(…うわ、やっぱすごい体。鍛えてるな)

戦士「…脱いだ。戻るぞ」

勇者「上だけじゃん!」

戦士「うるさい!」グイ

勇者「ねえもう、ずるいってばー」

戦士「ずるくない。断じてずるくない」

勇者「んん…っ、やめ、…腿触らないで…。ちから、…ぬける」

戦士「…」

戦士「き、…綺麗だな。お前の足」

勇者「そ、そう?」

戦士「ああ。…あ、でも…女のときのほうが、ずっと綺麗だ」

勇者「…」

勇者「変態」

戦士「なっ」

209: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)22:07:50 ID:wfE
勇者「もうさわり方がなんか変態だもん…。あ、…」

戦士「お、俺は別に…。普通に…」

勇者「んぅ、…っ。ね、…その…さわさわって、…軽く触るの、やめてよぉ…」

戦士「…」ゾク

勇者「くすぐったい、から…。へんに、…なる」

戦士「…こうか?ん?」スッ

勇者「あっ…。あ、やめっ…、ぅあ…」ビク

戦士「…腰浮いてるぞ。気持ちいいか?」

勇者「わかんないよ、…こしょばゆい、…んあっ…だけ…っ」

戦士「…ここ、こんなにしておいて何言ってるんだ」グリッ

勇者「!ひっ…!!」

戦士「もう糸引いてるぞ」ヌチャ

勇者「だ、だからなに!?急に触らないでよ」

211: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)22:13:14 ID:wfE
戦士「…一回、男のあれ、味わってみるか?」

勇者「…い、いい。別に」

戦士「遠慮するな」ギシッ

勇者「あ、やめっ…やめてってば!」

戦士「ほら、…力抜け。集中しろ」

勇者「あんっ、やっ、…やめっ…待って、おね、が…」ビクビク

戦士「…ちゃんと感じるんだな、ここでも…。きもちいいか?」

勇者「ちがっ、…そうじゃな…はぁっ…んんっ…」

戦士「ふうん…」グチャ

勇者「ーーーっ!!!?」ビクン

戦士「…っ、音…すごいな…」

勇者「ぁ、っ。あぁっ!まっ、だめ、おねがい、なんか、…あぁっ!!」

戦士「はぁ、…来るか?」

勇者「いや、へん、へんっ…!!せんし、おねがい、…手ぇ、とめ…っ」

戦士「…断る」

勇者「!あ、ぁあああああああああっ!!!!」ビクッ

パタッ パタタ

勇者「…っ、ふ、…ぁ…。…っ」ハァハァ

212: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)22:16:45 ID:wfE
戦士「…」

勇者「これ、…が、…おとこのこの…?」

戦士「まあ、そうだな」

勇者「…はぁ…」クテ

戦士「良かったか?」

勇者「うん…。すごい、…今もジンジンする…」

戦士「…そうか」ナデ

戦士(…量も大きさもエグいんだが…これ大丈夫か…)ドキドキ

勇者「…ねえ、戦士はぁ…?」

戦士「は?」

勇者「戦士にもしてあげようか、今の」

戦士「い、いい。俺はいい。というか触るな」

勇者「不公平だよ」バッ

戦士「なにが不こ…やめろ!おい!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!!」

カチャカチャ

勇者「ん、…ひっかかる」

戦士「やめろ!!!!!!!!!おい!!!!」

勇者「あ、できた」

戦士「っ…」

213: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)22:19:18 ID:wfE
勇者「なんだ、大きくなってるじゃん」

戦士「うるさい…。馬鹿が…」

勇者「へー、こんなのなんだ。なんか…僕のと全然違うね」

戦士「お前のは綺麗すぎるんだよ!未使用だからじゃないか?!」

勇者「別に戦士の汚くないよ。可愛い」

戦士「かわ…」

勇者「…ええと、こう?」ゴシ

戦士「!」ビクッ

勇者「あ、震えた。こうか」

戦士「おま、まじ…やめろ…。触るな…」

勇者「やだねー」ギュッ

戦士「あ、…っ、やめ」

214: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)22:22:32 ID:wfE
勇者「…なんか、ぬちゅぬちゅ言ってる」

戦士「お前のもさっき、…いってただろ…」

勇者「そうだったけ?じゃあ気持ちいいんだ」

戦士「!な、…」

勇者「気持ちよくない?僕、へた?」

戦士「…っ、いや…。…ふ、…普通だ」

勇者「普通かあ」

戦士「…っ、…っ」

勇者「ねえ、なんでそんな目ぇぎゅってしてるの?」

戦士「うる、…さい」

勇者「ねえってばー。僕を見てよ」

戦士「ぁ、…っ。勇者…っ、おまえ…っ」

勇者「ね、」コツン

戦士「うっ…」

勇者「戦士、かわいいなあ。好きだよ」チュ

戦士「!ふ、…っ」ビクッ

勇者「いっちゃえ」ギュッ

215: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)22:25:50 ID:wfE
戦士(や、やばい…っ!)グッ

勇者「うわっ」ゴロン

戦士「がっ…。はぁ、はあっ…!!!」

勇者「なんで止めるの!?」

戦士「だ、から…。主導権は俺と、…言っただろうが…。勝手なことするな…」

勇者「…つまんないのー。いいじゃん別に。一緒に気持ちよくなれば」

戦士「俺はこんなとこで体力奪われてる場合じゃないんだよ!ほら、お前横になれ」ポイ

勇者「え、またー?」

戦士「黙ってろ!」ナデ

勇者「さっきもういっちゃったよ」

戦士「…で、できるだろ。多分…」

勇者「どうかな」

戦士「…舐めてやるから」

勇者「え。汚いよ」

戦士「汚くない」チュ

勇者「あっ…。ちょっと、くすぐった…」

216: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)22:28:48 ID:wfE
戦士(えっぐい形…)レロ

勇者「んんんっ…」

戦士(こんなのが、俺の)

勇者「はあ、ぁう…」

戦士(…)

勇者「戦士ぃ、…戦士っ…」

戦士(俺はホモじゃない)

戦士(けど)

戦士(…何でいい気になってるんだ…?)

勇者「あっ…。好き、好きぃっ…。きもちいよ、もっと…っ」

戦士(あ、そうか)

戦士(こいつが好きだからか)

戦士(こいつのためなら、なんでもできるからか)

戦士「…」ゾワ

勇者「あっ、もっ…むりっ…」

戦士「…」レロ

勇者「……っ、戦士ぃっ…!」ギュッ

戦士「!!?」

217: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)22:31:53 ID:wfE
勇者「あっ、んっ、ごめっ、腰がっ、…勝手に…っ」

戦士「ん、!ぐ、ぁ…」

勇者「い、…くっ!ごめんね、戦士、ごめんっ…!!」ビクビク

戦士「…」ギュッ

勇者「…っ、く、ぅぁああああああああっ…!!!」ビクンッ

戦士「…っ!」ゴブッ

勇者「…っ、はぁ、…はあ…」

戦士「…う、…」ズル

勇者「ごめ…。くるしかった、よね…。ごめん…」

戦士「別に、大丈夫だ…」

勇者「きもちよかった。…ありがと」

戦士「…」キュン

戦士「…おう…」

戦士(なんだ、これ)

戦士(だめだ、頭ぼーっとする。あつい)

218: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)22:34:40 ID:wfE
勇者「…戦士?」

戦士「…」ギシ

勇者「ねえ?」

戦士「ちょっと我慢しろ」パキ

ヌチュ

勇者「わ!…つっめた!」

戦士「…」ヌチュ

勇者「ねえ、なにこれ」

戦士「…セックス、するか」

勇者「…え、今のは」

戦士「今からが本当のセックスだ」

勇者「…」

戦士「…ここに、入れるけど…。いいか」

勇者「苦しくない?」

戦士「俺は大丈夫だ」

勇者「…」

戦士「いく、ぞ」

グッ

戦士「…っ」

勇者「ふ、…ぁ」

219: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)22:37:47 ID:wfE
戦士「ぐ、…ぁ…っ」

勇者「あ、っ。ねえ、痛く…ないの…?」

戦士「いってぇ…っ」

勇者「じゃあやめようよ!抜いて!」

戦士「…っ、やだ、嫌だ。…俺、…したいんだ」

勇者「え、戦士…」

戦士「…っ」ギリッ

ズチュ

勇者「あっ…」

戦士「はぁ、…はぁ」

勇者「うわ、…入った。すごい…」

戦士「…っ」ゴシ

勇者「中、熱くてじんじんしてる」

戦士「実況するな。殴るぞ」

勇者「えへへ」

戦士「…動く、からな」

勇者「うん」

戦士「…はっ…」ギシッ

勇者「ん、」

戦士「はぁ、はあっ」ギシギシ

勇者「あ、っ。これ、んっ。すごっ、」

戦士(…なんだ、これ)

221: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)22:41:24 ID:wfE
勇者「きもちっ、あっ、ううっ」

戦士「はぁ、はあっ」

勇者「戦士ぃ、いたく、ない…?」

戦士「…っ」フルフル

勇者「じゃあ、…きもちい…?」

戦士「…っ、…」コクコク

勇者「そっか…おんなじ、だねっ…」

戦士「…っ、勇者っ。勇者っ…」ギシギシ

勇者「ん、戦士っ…。はあ、…んっ…」

戦士「…っ、キス、しても…いいか…?」

勇者「…うん、してほしい」

戦士「…」バッ

勇者「ん、あ。…はぁ、う…」

戦士(頭の中、まっしろになる)

戦士(きもちよくて、あつくて)

勇者「せんし、…せんしぃ…」

戦士(…可愛い)

勇者「好き、…大好き…」

戦士「…俺も、好きだ…」

223: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)22:47:05 ID:wfE
戦士(ああもう、どうでもいいな)

勇者「~~~っ、いくっ。いくよっ、戦士ぃっ…!!」

戦士「ぐ、…っ」

勇者「はあ、はあ」グイッ

勇者「よつんばいになって、戦士」

戦士「…そ、…れは」

勇者「お願い」

戦士「…」ギシ

勇者「…っ」ツプ

戦士「あ、…ぐ、…はぁっ…」

勇者「はぁ、はぁっ、はあっ」ギシギシ

戦士「ゆう、…しゃ。ん、っぁ…。も、…」

戦士「も、っと…。もっとして、くれ…。あぁっ…」

勇者「うん…。いっぱいしてあげる、からっ…。大好き、戦士…っ」

戦士「すき、すきだ。あいしてる、ゆうしゃっ、あっ」

勇者「ね、一緒に…いこ」ギシッ

戦士「ゆ、…勇者…っ」

勇者「…っ、ぁっ、うぁっ……!!」

戦士「!ふか、…あぁあああああああっ!!」ビクッ

勇者「も、だめっ。いくよ、戦士っ」

戦士「あ、ぐっ、ああっ、いけっ…!」

勇者「っ、はぁっ……!!」

戦士「~~~~っ、…!!!」ビクッ

勇者「…っ」ズル

ドサ

224: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)22:51:00 ID:wfE
……


戦士「…」

勇者「…」

戦士「あー…」

勇者「はー…」

戦士「やってしまった…」

勇者「しまったね…」

戦士「俺はもうどういう感情でどういう顔で表を歩けばいいか分からん」

勇者「普通でいいよ」

戦士「あー…。自分が怖い…。怖すぎる…」

勇者「最後戦士のほうがいっぱいあえいでたもんね」

戦士「お前後で…殺すからな…」

勇者「えへへ、僕もすっごく良かった」

戦士「…」

戦士「そりゃどーも…」

勇者「戦士大好き」ギュッ

戦士「…はいはい」

勇者「僕のために女の子になってくれてありがとう」

戦士「なってねぇよ一回限りだし二度とごめんだ」

勇者「へへー」

戦士「ったく…」

戦士「…」ギュッ

戦士「馬鹿は早く寝ろ。俺はもう子守は疲れた」

勇者「うん。おやすみ、戦士」

戦士「…ああ」ギュウ

225: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)22:54:05 ID:wfE
爺「…」

婆「…」

「たっだいまー!」

爺「」ガタッ

婆「」ガタッ

爺「おおおおおおおおおおかえりぃいいいいいいいい!!」

婆「どうなったのどうなったの!!!!」

勇者「へへ、…」ヒョコ

爺「!!お、おおおお…!!」

勇者「無事戻りました」ニコ

婆「なんてまあ…可愛らしい…。別嬪さん…」

爺「ちくしょーっ、うらやましいぞ戦士!!!お前さんよく…あれ?戦士は?」

勇者「なんか丘の下付近でもがき苦しんでる」

爺「わっはっは、朝帰りが恥ずかしいなんて生娘みたいじゃな」

婆「なつかしいわ~」

戦士「うるせーぞボケども」

爺「おお!お帰り我がムスコ」

戦士「黙れ」ムスッ

226: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)22:56:20 ID:wfE
爺「うまくやったようじゃな、いやあ。めでたいめでたい」

戦士「…俺は何も言わん」

婆「あんたらが心配でねえ。あ、これ痔に効く薬。しばらく飲みなさい」

戦士「…何も言わんぞ…」

勇者「えへへ、戦士頑張ってくれた」

戦士「言うな!!!!」

爺「そうかそうか…で、2人は」

勇者「…」チラ

戦士「…」

勇者「ね」ギュ

戦士「…まあ」

爺「ひゅーっ!!」

婆「ひゅーっ!!」

227: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)22:59:13 ID:wfE
……


爺「達者でなーっ」

婆「また戻ってくるんだよー」

戦士「二度と来るか」

勇者「えー、来ようよ。きっと喜ぶよ」

戦士「嫌な思い出が蘇る忌まわしい土地なんだよここは」

勇者「…嫌だった?」

戦士「…」

勇者「ごめんね」

戦士「い、いや。嫌ではなかったかもしれん。まあ、普通だ」

勇者「普通かー」

戦士「ああ」

勇者「僕は最高だったかな」

戦士「…お前のその性格がたまにうらやましい」

勇者「へへ」

戦士「…さて、じゃあこの後は」

勇者「のんびり、また旅をしようよ」

戦士「ああ、そうだな。まあ俺たちには目的があるしな」

勇者「うん。2人でなら何でもできるよ」

戦士「…おう」

228: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)23:02:17 ID:wfE
戦士「…それでだな」

勇者「んー?」

戦士「昨日はお前に、さんざんしてやられたが…」

勇者「うん」

戦士「俺は女相手のお前にならこうはいかんからな」

勇者「へえ」

戦士「お前が強気でいられたのはあの一夜だけだということを、肝に銘じておけ」

勇者「はーい」

戦士「…」

勇者「楽しみだな」

戦士「…馬鹿か」

戦士「…」

勇者「んふふ」

戦士「キスでもしてやろうか」

勇者「したいの?」

戦士「お前がしたそうだったからな」

勇者「…したいんだ。しょうがないなあ」

229: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)23:04:52 ID:wfE
戦士「どうとでも言え」ギュッ

勇者「んー」

戦士「…」

勇者「んっ」

戦士「…おい」

勇者「ん?」

戦士「俺はゲイじゃない」

勇者「知ってる」

戦士「お前が好きだから、あそこまで耐えられたんだからな」

勇者「うん」

戦士「だから、お前…」

戦士「…責任とって、ちゃんと付いてこいよ」

勇者「…そんなの当たり前じゃん。これからも、今までも、ずっと僕は戦士についてくよ」

戦士「…そうか」

勇者「ほら、次はどっち行くの」ギュッ

戦士「そうだな、次は…」

勇者「あ、待って魔物」

戦士「嘘だろこの良い雰囲気で」シャッ

231: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)23:07:09 ID:wfE
勇者「戦士、前出過ぎだよ!」

戦士「うるさい指図するな!」

勇者「もー、言うこと聞かないんだから…あれ?」

戦士「たあっ!」ブン

勇者「…戦士-」

戦士「ああ!?なんだよ!?」

勇者「逃げた方が良いかも」

戦士「なんでだよこんな雑魚どもに…」

「キシャアアアアッ!」

バチッ

戦士「が、…?」

勇者「…」

戦士「…」

勇者「…」

戦士「はは、何だ今の魔法」

勇者「よし、おじいちゃん家に戻ろう」

戦士「嫌だぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


おしまい

232: 名無しさん@おーぷん 2016/07/31(日)23:09:34 ID:dyG
長時間乙!
面白かった!

転載元-http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1469941416/